「火事と喧嘩はナチの華。 80年代の始まりを告げたアクション映画の金字塔!✨」レイダース 失われたアーク《聖櫃》 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
火事と喧嘩はナチの華。 80年代の始まりを告げたアクション映画の金字塔!✨
考古学者インディアナ・ジョーンズ博士の活躍を描くアクション・アドベンチャー『インディ・ジョーンズ』シリーズの記念すべき第1作。
1936年、大学で教鞭を執る考古学者兼探検家のインディアナ・ジョーンズは、強大な力を持つという”聖櫃”がナチス・ドイツの手に渡るのを防ぐため、ネパールにいる恩師の下を訪ねるのだが…。
監督は『JAWS/ジョーズ』や『ブルース・ブラザース』(出演)の、巨匠スティーヴン・スピルバーグ。
主人公インディアナ・ジョーンズを演じるのは『スター・ウォーズ』シリーズや『地獄の黙示録』の、レジェンド俳優ハリソン・フォード。
製作総指揮/原案は『アメリカン・グラフィティ』『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の監督で知られる、巨匠ジャージ・ルーカス。
第54回 アカデミー賞において、美術賞/音響賞/編集賞/視覚効果賞/音響編集賞を受賞!✨✨✨✨
スピルバーグ×ルーカスという、映画史にその名を刻むレジェンドがタッグを組んだ、アクション映画界のマスターピース!!
私観を承知で語らせてもらうが、70年代のアメリカン・ニューシネマ的な暗いノリを終わらせ、80年代のバカで明るい大味アクション路線を切り拓いたのが本作であり、後の映画史への貢献の大きさは他に類を見ない。
数多のパロディやパスティーシュを生み出しており、帽子とムチというインディの装備はもはやフィクションにおける探検家の正装といっても良いほどに定着している。また、大岩や毒蛇などのお馴染みのトラップも、やはりこの作品がその普及に一役買っている事は疑いようもない。
実は『インディ・ジョーンズ』シリーズをマトモに鑑賞するのは今回が初めて。…なんだけど、まぁ冒頭から観た事ある展開のオンパレード😅後の作品にパロられすぎた結果、これがオリジナルなのに既視感がすごいという逆転現象が起きてしまっている。
とはいえ、スピルバーグとルーカス、どちらか1人だけでもとんでもないエンタメ力を有しているというのに、それが2人になっちゃったもんだからもう大変!本作に詰め込まれているお楽しみ要素の質と量は後続の作品群とは比べ物にならない。1分に1回くらいの割合で物が燃えたり爆発したり銃をぶっ放したり殴り合いをしたり車が横転したり馬が走ったり…。こんなん供給過剰で中毒死するわっ!!∑(゚Д゚)
そして本作を鑑賞して感じた1番の驚きポイント。…それは悪趣味が過ぎるっ!!!
「子供でも楽しめる冒険活劇」というのはルーカスが得意とするジャンル。基本的にはスピルバーグもこの路線は大得意な訳だが、ルーカスとスピルバーグの決定的に違うところはその嗜虐性にある。
切られようが撃たれようが血も出なければ欠損もしないルーカスに比べ、スピルバーグの暴力はより過激。撃たれりゃ血は吹き出るし、モンスターに食べられりゃ身体はバラバラになってしまう。
「楽しませるためにはまず怖がらせる事が大事なんだよ〜〜〜ん」とでも言うように、スピルバーグの作品には恐怖と暴力が満ちているわけで、それは本作においても例外ではない。というかむしろ、ルーカス的なファミリー冒険活劇というフォーマットの中でそれが描かれている事で、よりバイオレンス性が際立っているように思う。戦争ものである『スター・ウォーズ』(1977)よりも断然こっちの方が戦争感があるよっ💦
串刺しになったり丸焦げになったりミンチになったり…。ナチスの命は紙より軽い。クライマックスシーンの人間液状化現象なんて、それ本当に必要っ!?と画面に向かって叫びたくなるほどの残酷さ。これを観てトラウマになっちゃった子供って結構いるんじゃなかろうか。
スピルバーグとルーカスがタッグを組んだ事で、ユルユルなアクションコメディでありながら残酷シーンはがっつり残酷という、なんだかよくわからない奇妙なバランスの映画が生み出されてしまった。この不思議な味わいこそが本作最大の魅力なのかもしれない。
興行的にも批評的にも大成功を収めた本作は、その後4作の続編映画とテレビドラマシリーズが作られる。
2作目の『魔球の伝説』からはタイトルに”インディ・ジョーンズ”と主人公の名前が入るようになる訳だが、この第1作目に入っていないのは元々はシリーズ化しようという考えがなかったからなのだろうか?
いずれにしろ、『レイダース 失われたアーク(原題: Raiders of the Lost Ark)』というタイトルは凄くぼんやりしていて一体何のことなのかさっぱりわかんない。続編から主人公の名前を冠するようにしたのはとっても英断だったと思います。
ちなみに、インディと一緒にジャングルの遺跡に入る現地人は『スパイダーマン2』(2004)のドクター・オクトパスで、エジプトの発掘王は『ロード・オブ・ザ・リング』(2001)のドワーフ、ギムリ。言われなければわからないが、言われてみると確かにそうだとわかる。アハ体験みたい。後に有名キャラクターを演じることになる俳優たちの若き姿を拝めると言う点も、この映画の見どころかも知れませんね。
※本作のお宝である〈聖櫃〉。チャールトン・ヘストンが高く掲げて雷がピカーっ!てなってるポスターでお馴染みのあれが入ってるやつ。
この十戒伝説って意味わかんなくないっすか?
神から授かった石版を、黄金の牡牛を囲んでどんちゃん騒ぎする民たちにキレて叩き割り、その場にいた人々を皆殺しにしたモーセ爺ちゃん。これぞ老害の極み!!怖い!ヤバい!
> これがオリジナルなのに既視感がすごい
ホントにそうですね!
映画館で若き頃に観た時も「岩が転がってくるシーンの迫力、凄い!」と感じ入りました。
その一方で、「でも、岩のハリボテ感は拭いきれない」と心の片隅で冷やかに思っていたのも思い出します。
ただ、岩のハリボテ感は現在の技術でも完璧にはできてないものと、俺の物差しの一つです。