ルパン三世 カリオストロの城のレビュー・感想・評価
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全てのルパンファンに捧げられた名作
もう観ていない人は居ないんじゃないかと云うぐらいの名作。冒頭からクラリスの登場、本編の舞台「カリオストロ」へと雪崩れ込む、そのジェットコースターのような勢いの良さ。海外からも真似できないと賞された傑作中の傑作。
ルパンはテレビシリーズからの人気キャラ、何年もテレビや映画で語り綴られた有名人、にもかかわらず、初めてルパンを目にする人でも判りやすいんじゃ無いでしょうか。カジノのギャングたちを手玉にとって、ふざけ合いながらも山盛りの札束をかっぱらう泥棒っぷり。そして「爆走するウェディングドレス」を目にした瞬間、「乗れ!」と目を輝かせて車を急発進するあたり、知らない人でも、そのはっちゃけたルパンの性格を十分すぎるほど理解出来るし、旧来のファンならば誰しも「これだよ、これがルパンなんだよ」と知ったかぶりたくなること請け合い。だけど――。
ネタバレになりますが、最重要シーン。傷ついて介抱されたルパンが語る自分の過去。この映画ではユーモラスなミニカーですが、その過去のルパンはかのテレビシリーズのオープンカー。宝石を掃除機で巻き上げるやり口はまさにテレビシリーズのルパンそのもの。つまりどういうことか。この映画の監督は、かの宮崎駿氏ですが、テレビシリーズとは一線を画す、テレビシリーズとは違う未来の(こう言って良ければ老後の)ルパンを描こうとしていたのでは無いかと思います。しかもルパンは「バカやっていた頃」みたいなことを言ってます。つまり、テレビシリーズの自分はバカだったって言ってるんです。
それを踏まえて見ればどうだろう。なんだか始めからルパンの素振りが意味ありげに見えてしまう。女の子に対しても、不二子のあしらい方も「大人になったなあ」などと違って見える。「監督が違うから、ルパンが違って見えるんだ」というのではなく、その全てに意味が有るような気がしてなりません。
先に書いたように「かつてのルパン」を「バカやってた頃」などと過去の作品を全否定している否定的なメッセージのようにも見えます。でも、私は悪くないと想います。過去に安閑としていては人生はそこで終了してしまう。変わり続けて尚も成長を続ける、泥棒稼業であるからこそ、図太く抜け目なく生きていける、そんなルパンであって欲しい。過去を否定することもまた成長への第一歩。
この後もルパンの作品は数多く作られていますが、ルパンの末広がりな未来を語った、最終回に相応しい名作だと私は考えています。
ルパンじゃなくてもいい話
と思わせといて、ルパンだからこそのセリフを最後に持ってきて、コロっとやられちゃう。ズルい。あのセリフでこちらの心も盗まれそうになったが、何とか踏みとどまった。
後年の作品を想起させるワチャワチャシーンとか、ロリコンおじさんとか。
誰もが知っている文句なしの大傑作
カリオストロの城といえば金曜ロードショーのイメージ。
多分本作、日本国民で観たことない人は一人もいない(過言)
地元の映画館でリバイバル上映されていたので、テレビでは何度も何度も鑑賞したことがある本作を初めて映画館で鑑賞です。当然ですが、内容はほぼ知っている状態でした。
結論ですが、めちゃくちゃ面白い!!!!
初公開が1979年なので45年前。ほぼ半世紀前の作品です。しかしながら、ある種の新鮮さすら感じます。作画のクオリティ、アニメーションの迫力、声優陣の演技、100分に濃縮された綿密なストーリー。どこをとっても一級品です。本当に素晴らしかった。
宮崎駿監督の劇場アニメデビュー作ですが、やはり宮崎駿監督はアニメを愛し、アニメに愛された監督なのだと言うことが良く分かりますね。
もしこの映画をまだ観たことがない方がいらっしゃったら、今すぐにでも鑑賞してほしい名作です。
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世界を股に掛ける大泥棒のルパン三世(山田康雄)は、カジノから盗んだ大金が全て精巧に作られたゴート札という偽札だということに気付く。ルパンと相棒の次元大介(小林清志)はゴート札の秘密を探るために、ゴート札を製造していると目されるカリオストロ公国に訪れると、可憐な少女・クラリス(島本須美)が謎の男たちに追われているのを見掛け、咄嗟に彼女を助けるのだが……。
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日本で一番有名で、日本で一番鑑賞された映画は、おそらく本作なのではないかと勝手に思っています。今から45年も前に公開され、今なおリバイバル上映されたり毎年のようにテレビで放送されている映画って、多分本作くらいじゃないでしょうか。少なくとも私は他に思い浮かびません。
ここまで人気な理由は本作のクオリティの高さにあると思います。
ストーリーはたった100分の映画とは思えないほどの濃密なもの。映像は流石宮崎駿監督というべきか、作画が美しくて動きも滑らか。キャラクターは全員魅力的でキャラ立ちしていて、声優陣の演技もキャラクターに合っていて素晴らしい。どこをとっても、クオリティの高さは最高クラスです。
アニメ映画の中では日本映画史上に残る大傑作だと言うことは疑いようがありませんね。もしも観る映画に迷っていて、本作を鑑賞したことが無い方がいらっしゃったら、他の映画を後回しにしてでも本作をご覧になってみてください。間違いなく満足できる映画だと思います。オススメです!!
【”男の美学””奴はとんでもないモノを盗んで行きました。貴女の心です。”銭形警部の名言が忘れ難き、宮崎駿監督の劇場初監督作であり、ルパン映画の金字塔作品。そして、未来少年コナンとの関係性を考える。】
ー ユーモアとアクションの連続に紙幣偽造の陰謀、カリオストロ公国のお姫様クラリスの救出など娯楽要素てんこ盛り作品。
宮崎駿監督の最高傑作との呼び名が高く、印象的な台詞の宝庫としても有名な作品である。ー
■カジノから盗んだ大金が偽札と知ったルパンたち。
偽札の謎を追ってカリオストロ公国に来た彼らは、謎の集団に追われる少女・クラリスに出会う。
集団に捕らわれた彼女がカリオストロ伯爵の許嫁だと知ったルパンは、結婚に隠された陰謀を阻止しようと動き出す。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・多くの方が書かれているので、簡単に記すが冒頭のあり得ないが面白いカーチェイスシーンの躍動感が堪らない。
・そして、ルパンたちがカリオストロ公国で何百年も行われて来た、世界各国の偽札づくりを暴く過程も面白い。
・愚かしきカリオストロ伯爵が、クラリスの銀の山羊の指輪を求める理由も、後半明らかになるが、実に面白い。
・カリオストロ伯爵とルパンが時計台の歯車の中で闘うシーンは、チャップリンの「モダン・タイムス」のオマージュであるし、カリオストロ伯爵が銀の山羊の指輪を手に入れた時にクラリスが言った言葉”光と影を結び時、高き山羊の日に向かいし眼に我を収めよ”をそのまま実行し、彼は時計台の針に挟まれ露に消えるが、水没していた湖の中から現れた古代ローマの都市。
これこそが、カリオストロ公国の秘められた宝だったと分かるシーンは実に美しい。
<そして、ルパンとクラリスの別れのシーンは何度観ても、沁みる。クラリスを抱きしめようとするルパンだが、必死に自制し”俺みたいに薄汚れちゃいけないんだよ。”と言って去るのである。で、銭形警部の名言が炸裂するのである。>
■今作を半年ぶりに鑑賞すると、今作の前年にNHKで放送された宮崎駿監督の傑作アニメ「未来少年コナン」との類似性を感じてしまうのである。
クラリスは勿論ラナだし、ルパンはコナンであり、ダイス船長は銭形警部、モンスリーは峰不二子、レプカはカリオストロ伯爵である。
更に、ラストの時計台のシーンの数々は、コナンたちがレプカが支配するインダストリアの巨大な塔での一騎打ちを容易に想起させるのである。
<遥昔、TVで鑑賞。>
<2022年9月11日 クラリスの結婚式を記念した特別上映で鑑賞。>
ー 9月13日はクラリスの結婚式が行われた日であると、映画のフライヤーに書かれている。が、不二子が渡す新聞は一瞬しか出て来ず、劇場では分からず。
”ならば、配信で確認だ!”という事で何度も静止画にしても分からず・・。ホントかなあ・・。-
<2023年5月30日 別媒体にて再鑑賞。>
車が左側を走っている。
車道が左で、車も日本車仕様になっている。
ノンストップアクションアニメで、非の打ち所無いと思う。実写でやれば結局はCGを多用する事になるので、これで良いが、採算を度外視しているので、この当時の動画作成の重労働が伺い知れる。さて、その動画をどう言った立場の人達がやっていたかと言うと、クレジットを見るとそのほとんどが女性である。つまり、人件費が安かったのだと思う。要はブラックな会社だったのだと思う。
過去のことなので、その点はこれ以上言及したくないが、その努力がこのアニメを更に良くしていると言っておきたい。宮崎駿先生の作品として、名作とされるが、純日本製アニメの最高峰と言っても過言ではないと思う。
勿論、アニメは総合芸術だ。その後のアニメは海外へ作画作業が移されるし、CGが使われる様になる。従って、純日本アニメの最高で最後のアニメなのかもしれない。
今、成田空港のラウンジで朝食を取っている。これから、ホー・チ・ミンへ向かう。ラウンジの壁には『カリオストロの城』が掛かっている。クラリス、ルパン、次元、五右衛門。
やったー。
2024年7月23日午前7時53分
納得の名作
思えばまともにルパンを観たことがない。
そんな折、「クラリスの結婚式を記念して」とのことで特別上映があり、本作初鑑賞。
古さを忘れるのに時間はかからなかった。
とはいえ、もはや古典とも言うべき作品。話の筋も王道ではある。
しかし、絶妙なコミカルさやアニメーションならではの動きの楽しさ、軽妙な台詞回し、リズムよく転がるストーリーなど、王道がガッツリ踏み固められているのが分かる。
ライバルとの共闘も王道だが熱い。
当時の主流なのか、本作ならではなのか、BGMが先立って展開を示唆する演出は新鮮に感じました。
子供でも分かる勧善懲悪の中に、政治的なエッセンスが忍ばされ、老若男女が楽しめるバランスも素晴らしい。
銭形警部の最後の台詞があまりにも有名だが、個人的には不二子がクラリスに「恋人だったときもあった」と語るそのニュアンスが、一筋縄ではいかない関係性を表現していて感動しました。
終盤、パトカーに『埼玉県警』と書かれたシーンがあり(他のシーン描かれてなかったよね?)、笑った。
緻密で、設定考証もしっかりしたリアリティのある作風もよいが、こういうエンタメに振り切った作品はやはり気持ちいい。
納得の名作でした!
宮崎駿監督のルパンは最高!
ルパン三世Part2が一番好きな私はカリオストロはもう最高傑作。曲も最高だし、なんといっても爽快なストーリー、あれは駿監督にしか書けない。
冒頭のカーレースシーンはスピルバーグも絶賛したとか聞くけど曲とシーンがあっていて本当にいい。
銭形とタックを組むのは時々見かけるけれど、カリオストロで2人が協力するところはテンポも良く、なんだかんだお互い信頼して尊敬してるようなところが見られて本当に好き。
次元と五右衛門、不二子の使い方も最高だし、ヒロインのクラリスを救うルパンはとてもイケメン。
また炎のたからものがいいのよね。オープニングもエンディングもこれで閉めというのがなんだか泣けてくる。
まだ高校生だけど何百回と見た。
最後の名ゼリフだけで、この映画を観る価値あり。
ヤツはとんでもないものを盗んでいきました。
———あなたの、"心"です。
この名ゼリフのおかげで、この映画観賞後の余韻は心地よいものに。正直、ストーリー内容自体は、ありきたりで少し退屈させるもの。でも、このとっちゃんのセリフのおかげで、3点評価をつけられた。
※正直、他の方のようにストーリー自体に面白みはそこまで見出せませんでした。
永遠普遍の娯楽活劇に心盗まれる!
"ルパン三世(映画)" シリーズ第2作。
"金曜ロードSHOW!" で鑑賞。
原作マンガは未読、TVシリーズは未見です。
何を隠そう、本作にはなかなか縁がありませんでした。放送日は風邪を引いたり、仕事がなかなか終わらなかったりして、最初の方だけとか、途中からとか、最後の方だけとか、断片でしか観ることが出来ず…。「#何度目だカリオストロ」ってハッシュタグが出来てもおかしくないほどテレビ放映されているのに、今回初めてまともに鑑賞することが出来ました。
アニメならではなコミカル表現の中に漂うハードボイルド。圧倒的存在感を放つ魅力的なヒロイン。ダイナミックなアクション。カリオストロの城の秘密を巡るサスペンス。…
エンターテインメントの全てが詰め込まれていました。
宮崎駿の長編映画初監督作品と云うだけでもすごいのに、はじめからこのクォリティーなんてめちゃくちゃすごいし、ホントに天才だな、と…。本作の5年後には「風の谷のナウシカ」が誕生するのも納得出来ると云うもの!
映画とは何か。娯楽とは何か。活劇とは何か。ロマンとは何か。…これらを徹底的に突き詰めていけば、自ずと本作のカタチに行き着いてしまうんだろうなと思いました。それほど完成度が高い。だからこそ色褪せないのだろうし、誰からも愛される作品になり得てるんだろうなぁ…
ラストの名ゼリフ―「ヤツはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」をようやく全体の流れの中で聴くことが出来て、感無量でした。このセリフは本作鑑賞後の私にも当てはまりました。完全に心盗まれました…
[余談]
宮崎駿らしさと云うか、不二子ちゃんのお色気要素が皆無と云うのも面白い。その代わり、クラリスへのロリコン趣味と云うか、以降の宮崎駿作品にも共通している直接的なエロではない潜在的なエロをすでにぶち込んでるなぁ、と思いました。
[以降の鑑賞記録]
2023/05/05:金曜ロードショー
これは、不朽。
何度も金曜ロードショーとかで放映されているからあまり感じませんでしたが、自分が生まれるよりも前の作品なんですね。なんとも感慨深い。
言わば、宮崎駿監督の映画作品の源流ですよね。ナウシカや、ラピュタなど、後世の作品たちのエッセンスや構図が感じられました。劇場公開時はあまり興業が振るわなかったのが、なかなか信じられませんね。作品のヒットには、作品の魅力だけじゃなく、時代の流行りや運も必要なんだなとつくづく感じますね。
今のアニメ作品のような大迫力の映像!ではないけど、どこか柔らかい作画や、キャラクターたちの豊かな表情は他の監督作品にはない唯一の魅力ですね。クラリスは今見ても素敵すぎるヒロインです。
ストーリーも、カリオストロ公国の裏の悪事、カリオストロ城の秘密、クラリスの救出、いろんな要素が絡みながらテンポよく進み、最後まで目が離せなかった。次元、五右衛門の活躍がやや少なかったのがちょっと残念でしたが。「奴はとんでもないものを盗んで行きました。あなたの心です。」ももちろん名言ですが、個人的にはそれより、「バカなこと言うんじゃないよ。また闇の中へ戻りたいのか?やっとお陽さまの下に 出られたんじゃないか。」の方が好きですね。
あと、音楽も素晴らしい。ルパンシリーズのお馴染みのアクティブな曲は押さえ目に、オリジナルの優しくしっとりした曲が多く、作品の画風、雰囲気にマッチしてますね。主題歌の「炎のたからもの」がまたいい!この歌と「時には昔の話を」は聴くだけで少し泣きそうになりますね。
とても見やすく4DX向き
来月公開のルパンTHEFIRSTを鑑賞前に世界観に今一度入りたくて鑑賞。
初めて見たのはアニマックスだったかな。1990年生まれのためもちろん劇場では観ておらず、世代もだいぶ離れている。
だがやはり名作は世代が違っても面白いね。
この作品の一番の見どころは最後の銭形警部の「ルパンが盗んだのはあなたの心」と言い放つシーンだね。
いつ見ても、この後発すると分かっていてもテンションがあがる。
改めてルパンのかっこよさ、次元、五ェ門、銭形警部、不二子の愛しさを感じてる今来月の新作がさらに楽しみになった。
それと意外とこの作品が4DXにマッチしてて違和感なくみれた。
鑑賞5分前にトイレにはいったのだが、揺れがやはり刺激を与えてしまい途中でトイレに行ってしまった。
まだまだその辺が4DXに慣れないところであり、早く順応したいものだ。
何度観ても、また観たくなる一本。
やっぱり何度観ても面白いぃ~!
銭形の最後の台詞がテッパンだけど、
ルパンの「女の子が信じてくれたから、空も飛べた!」も好き♪
あと・・・、時計の針が重なって「ぷちっ」も、たまらない!!(≧∇≦)
いい。んだけど。
ストーリー自体は素晴らしい。
けどMX4Dがなぁ・・・
同じようなのに4DXがあるが、あっちのがいい。
まず、水がうざい。出すぎ。アトラクション感はあるけど。4DXはその辺適切。
モーション以外がしょぼい。におい再現ないし、フラッシュも光量少ない。
あ、でも、いらん動きはこっちのほうがすくないかな。
初MX4Dでしたが
カリ城を映画館で観られる貴重な体験を出来て幸せです!
テレビ画面では感じられないものが沢山ありました!
何回観ても色褪せない面白さと感動です!
がしかし、MX4Dに馴れるまでだいぶ時間が掛かりましたね。
意味不明で余計な振動が多過ぎて、話に集中できない。これはもう映画というよりアトラクションだと個人的には思います。
2Dというか、普通に観たかった、。
それでも、最初のカーチェイスのシーンとか、城の屋根から屋根にジャンプするあの名シーンは臨場感と迫力があり楽しかったのですけれども。そこだけかな。
終始お尻の振動が邪魔に感じました。
だけれども、映画館でカリ城を観られるチャンスを逃すのはもったいないと思います。
日本の誇る名作アニメーションですな
アニメーションの技術が発達したいまで見ても、このアニメは素晴らしい!!
味のある絵、動きが可愛らしいし、迫力もある!!
ストーリー性も抜群だし、あんなキザな言葉が似合うのはルパンだけ!
さいごのとっつぁんの一言もしびれる!
「なんとも気持ちのいい連中だ」
有名な銭形警部のセリフの後に続く、庭師の爺さんのセリフにすべてが凝縮されている。銭形のセリフでウルッときて、爺さんのセリフでほっこりさせられる。
なんとも気持ちのいい映画だ。
何度見ても良い映画は良い。
みんなクラリス好き過ぎ
自分もその1人だが。
クラリスもまた、ルパンの心を奪っている。だがクラリスを大事にしたいが故に、ルパンは尋常じゃないやせ我慢をする。終始男とは、我慢とかっこつけの生き物である。それこそがかっこいいのだと言わんばかりで、ルパンという人間も改めて大好きになるような作品だ。この作品が国内外の映像作品やらなんやらと多大な影響を与えていることを再確認する。みんなカリオストロ大好き症候群なのだなと。
全編意外にもセリフでの説明が少なく、映画的な演出で人物の感情の流れや、山場を作っていたので、アニメとしてかなりハイレベルな作品だと感じた。
あとは何と言っても宮崎駿作品だというだけあって、随所にものすごい細かい演出を入れることで実在感を出しているのも流石だなと思った。登場人物が何かをするときにかならず一つアクションやらちょっとしたハプニングを入れるなど、アニメでは端折ってしまうような細部まで、動きが細かい。そこはストーリー的にはいらないだろうという部分にまで思考が凝らされている。画面の中でルパンたちが文字通り「生きている」と感じさせてくれた。宮崎駿はやはり変態なのだと確信した。ちゃんと見せ場はあったが、強いていうなら、五右衛門と次元の活躍がもうちょっと見たかったなあと。まあ本作はルパンかっこいいクラリスかわいいがテーマだからいいとは思うが。
ルパン三世という作品をあまりしっかり見たことがなかったので、設定的にも荒唐無稽なケイパーものという感じなのかなと思っていたが、蓋を開けてみると驚くほどに(銭形含め)ルパンチームのじゃれあいと、ヒロイックでファンタジーな話だった。おそらくこの作品が、以降のそいうルパンイメージを作っていったのだろうが。
ストーリーにそこまでの驚きや面白味は感じなかったが、楽しい作品であることは確かである。リアルタイムで見たかった。
大傑作
宮崎アニメは『風の谷のナウシカ』から映画館で見ているので、この映画がデジタル利マスターでスクリーンで見れるのはとても嬉しかった。しかしボロボロでもフィルムで見たい気持ちもあった。
改めて見るとルパンや次元、五右衛門、不二子は楽しげに振る舞っているが、実のところアウトローであり、陽のあたる場所を歩けない後ろ暗さや孤独さをひしひしと感じた。クラリスがどんなに慕ってくれたとしても受け入れないのは誠実さである。
結末で不二子がゴート札の原版を持って逃げるとルパンがオレにも寄越せとふざけるのだが、この映画の冒頭でルパンは車いっぱいのゴート札を全部捨てる。つまり偽札が欲しいわけでは全くなく、不二子にじゃれているだけなのだ。
カリオストロ伯爵は悪者であるのだが、クラリスとの婚姻を本当に楽しみしていたと思う。婚前交渉もせずにワクワクしていたと思ったら時計塔で針に挟まれて死んでしまう。気の毒すぎる。
宮崎アニメの原型的に場面がたくさんあった。修道院で育ったクラリスは無垢であるのだが、今後国を運営する立場になれば表も裏も知る事になり、きれいではいられなくなるであろう。そんな彼女の行く末に『ナウシカ』のクシャナの姿が偲ばれた。
銭形警部がルパンを追いかける様子は恋に破れたストーカーのようであり、追いかける行為そのものが生き甲斐になっているかのようでもあった。
小学生でテレビで見て、当時はビデオもなくカセットに音声を録音して何度も聴いたため主題歌も口ずさめる。中年になり改めてスクリーンで見ると、銭形とカリオストロ伯爵にとても感情移入して見た。
(追記)2021年10月13日
4Kリマスターでの上映で7年ぶりに見る。前回のリマスターの時は、新潟での上映が不明だったのでTOHOシネマズ日本橋で見て、その後イオンシネマ新潟南での上映があって、せっかくだから間を置かずに見た。なので劇場は3回目だ。
先日『未来少年コナン』をNetflixで見たばかりだったので、キャラの配置がだぶる。
ルパン→身体能力がほぼコナン
銭形→ダイス
カリオストロ伯爵→レプカ
不二子→終盤のモンスリー
クラリス→ラナ
手癖で『ルパン三世』をやったら大傑作が生まれてしまった、みたいな感じだろうか。だとしても素晴らしいことには変わりがない。活劇としても面白いし、ミステリーの配分もすごくいい。古代ローマの街並みが宝ものというのもスケールが大きい。
ルパンシリーズでも宮崎作品でも代表作
総合:90点
ストーリー: 90
キャスト: 95
演出: 85
ビジュアル: 75
音楽: 85
何度も見ていて個人的には流石に見飽きた感もあるのだが、それでもやはりこの作品が傑作であることに変わりはない。70年代の作品という古さにも関わらず、ルパンシリーズにおいても頂点にたつ作品であろうし、宮崎作品の中においても彼の絶頂期のおける特に優れた代表作の一つであろうと思っている。これが公開当時は評価されずに人気がなかったというのが理解に苦しむ。今ならばネットであっという間に評判が伝わるが、アニメがまだ名声を確立する前という時代背景の差でもあろうか。
ルパンシリーズいつもの四人の登場人物たちに加えて、お嬢様育ちなのに命を惜しまぬ勇気と行動力のある可憐なヒロイン・クラリス、権力に取り付かれたいやらしい冷酷な悪役の伯爵、そして伯爵の下で活動する妖しい工作員たちが、それぞれの役割の中で魅力を輝かせている。悪役も魅力がなければ主人公側も魅力が半減するというもの。登場時間は多くないけれども、要所要所で出てくる過去を知る庭番のお爺さんと犬も渋い。巨悪を前にして、ルパンと銭型が協調するのも話が盛り上がる。
物語はアニメらしくわかりやすい。偽札作りで国家を運営してきた歴史の陰部を暴くことと、偶然出会った、悪に閉じ込められたヒロインの救出の冒険活劇である。喜劇的で軽快な前半と、真剣な命のやり取りの後半どちらも楽しめる。また物語のそれよりさらに昔の過去の偶然の経緯が、物語をさらに儚く美しくして華を添える。
ついてこようとするクラリスと、必死で最後の自制心を働かすルパンの気持ちがせつない。ルパンを庇って「あのかたは何も盗まなかったわ」というクラリスに、銭型警部の「いえ、やつはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です。」という名台詞と共にクラリスの表情に笑顔が戻り、一服の清涼剤のような感動を残して終わる結末が何とも爽やかで清々しい。
シリーズの定番曲を編曲した乗りのいい曲から美しいバラードまで手掛けた大野雄二の音楽も良い。
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