ルチオ・フルチのマーダロックのレビュー・感想・評価
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意欲作といえば聞こえは良いが…
グロゴア描写に定評のあるルチオ・フルチよるミステリー作品。本作においてはグロ描写を封印し、本格ミステリーに挑戦といったところでしょうか。
まず音楽についてですが、ダンススクール内での殺人事件がメインとなっているせいか、ポップミュージックが多用されています。担当したのは元ELPのキース・エマーソン。シンセサウンドを前面に出した音楽は、ぶっちゃけ場面に合ってんだか合ってないんだか微妙なところはありましたが、フルチ作品の中ではかなりまともだと思いました。
肝心のストーリーですが、こちらもフルチらしからぬまともな構成。……かと思いきや、やっぱりやらかしてます。観客に対するミスリードに夢中になりすぎて、いつの間にか製作側もミスリードされてしまった感じ。肯定的に考察すれば、矛盾というほどではないのかもしれませんが…犯人が分かった時に「え…あの時のあれは何だったんすか…」ってのがあって気になってしまったのが惜しいところ。
うーん、やはり餅は餅屋といったところか。フルチの持ち味であるオカルトチックな雰囲気は控えめだし、かといって本格ミステリーと言えるほど作り込まれてない。そもそも「フラッシュダンス」に便乗した作品だなんて言われてる時点でお察しですね。
それでも謎のこだわりを見せる殺害方法は推せる。
マニアが観てニヤニヤするための映画
フラッシュダンスのヒットに便乗して製作されたというイタリアホラー界の巨匠ルチオ・フルチ監督作品。
ニューヨークのダンススクールで起こる連続殺人事件。果たして犯人やいかにというサスペンス映画です。
この企画の安直さは微笑ましい限りですが、映画の内容もこれまた清々しいほど安直で、単純につまんないです。
オープニングでブレイクダンスしているのですが、フラッシュダンスでは主人公が路上で見たブレイクダンスを自身のダンスにも取り入れるというシーンの繋がりがあります。本作では本当にただオープニングに映っているだけで、ブレイクダンスをしている人たちも本編には一切関係ない正に取って付けただけのシーンです!映画の舞台はニューヨークなのですがみんなイタリア語で話しますから、ここはニューヨークですよ!!と念を押しているだけっぽいです。
もちろん本編もこの調子で、フラッシュダンスで描かれた夢への挑戦。それをうけてコチラでは夢へ挑戦した者たちのその後が描かれているのですが、そんなテーマも取って付けたような感じなので、いよいよ真犯人が明かされたところで「ほーん。」ぐらいの感想です。
(とにかく素手で証拠品に触るイェール大卒の刑事はどうかと思う!)
ところがどういう経緯なのか、音楽を担当したのは伝説的プログレッシブ・ロックバンド
「エマーソン・レイク・アンド・パーマー」のキース・エマーソンです!・・・ですが音楽もフラッシュダンスの圧勝ですね。
ただ女性の撮り方は流石です。みんな綺麗に撮れていますし、みんな体張ってくれています!
キワドイ衣装は両作品ともそうですが、それでもフラッシュダンスのダンスシーンは爽やかで健康的でしたが、こちらのダンスシーンは妙に艶めかしくて性的です。これも流石はイタリアホラー界の巨匠といったところです。
スプラッター映画で名をあげた監督ではありますが、今作ではそこまで凄惨な描写はありません。まぁそれでも殺人シーンはなかなかクるものがあります。
この映画見るためにわざわざフラッシュダンスも見ましたが、フラッシュダンスだけ見とけばよかったです。
ダンススクールで起きる連続殺人
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