「意欲作といえば聞こえは良いが…」ルチオ・フルチのマーダロック 吹雪まんじゅうさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 意欲作といえば聞こえは良いが…

2025年10月19日
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鑑賞方法:VOD

グロゴア描写に定評のあるルチオ・フルチよるミステリー作品。本作においてはグロ描写を封印し、本格ミステリーに挑戦といったところでしょうか。

まず音楽についてですが、ダンススクール内での殺人事件がメインとなっているせいか、ポップミュージックが多用されています。担当したのは元ELPのキース・エマーソン。シンセサウンドを前面に出した音楽は、ぶっちゃけ場面に合ってんだか合ってないんだか微妙なところはありましたが、フルチ作品の中ではかなりまともだと思いました。

肝心のストーリーですが、こちらもフルチらしからぬまともな構成。……かと思いきや、やっぱりやらかしてます。観客に対するミスリードに夢中になりすぎて、いつの間にか製作側もミスリードされてしまった感じ。肯定的に考察すれば、矛盾というほどではないのかもしれませんが…犯人が分かった時に「え…あの時のあれは何だったんすか…」ってのがあって気になってしまったのが惜しいところ。

うーん、やはり餅は餅屋といったところか。フルチの持ち味であるオカルトチックな雰囲気は控えめだし、かといって本格ミステリーと言えるほど作り込まれてない。そもそも「フラッシュダンス」に便乗した作品だなんて言われてる時点でお察しですね。

それでも謎のこだわりを見せる殺害方法は推せる。

吹雪まんじゅう
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