リリイ・シュシュのすべてのレビュー・感想・評価
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けだるいのに眠くはならない
描かれている様々な問題が、とても現実的だった。
だからこそ精神を木片でギッと突かれるような不快さがあった。
『こんなの映画の中だけ』と思う人は、ただ気付いてないだけ、知らないだけだと思う。
自身が経験するか身近な誰かから直接SOSを出されないと、なかなか気付けるものではないのだから。
誰かが苦悩していても、それが今から死のうというレベルだとしても、気づく由が無い。
隣の部屋の人、コンビニのレジで前に並んでいる人、友達、そして身内でさえも。
この映画には、終始薄い膜が張り付いているようなけだるさがあるが、その膜こそがリアルだ。
圧倒的な「大人」の不在
雄一(市原隼人)は、かつての親友・星野(忍成修吾)から壮絶なイジメを受けて苦しんでいた。星野は小学校ではいじめられっ子だったが、中学では入学式で新入生代表として答辞を述べるほどの優等生だった。2人の関係に異変が生じたのは中学一年の夏休み、仲間たちと一緒に行った沖縄旅行で経験したある人間の死だった。目に見えてエスカレートしていく星野の狂気と悪意を前に、悔し涙を流すことしかできない雄一。心の拠り所としていた歌手「リリイ・シュシュ」のファンサイトを開設する。そしてそこは雄一が本音を吐露できるたった一つの場所になった。雄一は、かつて共にリリイ・シュシュを聴いた親友の狂気を収束させることはできるのか。
星野から援助交際を強要される女子生徒役に蒼井優、クラスメイトの女子からイジメを受ける生徒役に伊藤歩など。
圧倒的な「大人」の不在!
最後の方は結構な大惨事になっているにもかかわらず、一貫して保護者が出てこないくてかなり違和感。15年前の映画だから、今ほどモンスターペアレンツとかいなかったのかな〜にしても。思い描いたストーリーを進めたいがために強引に不在を貫いた感じ。
子どもたちの世界は、大人の世界とは違うルールや暗黙の了解みたいなもので溢れていて、大人は絶対にそれらを理解できない(もう私も理解されない側からできない側に来てしまったよ)。とは言え、わからないならわからないなりに介入するところはしないと、まだ未熟な子どもの狂気はどんどん膨らんでいずれ取り返しのつかない事態が起こりますよ、っていう大人への警鐘のように観た。つまんない解釈だけど。
大人が不在の世界で、星野を止めるために雄一にできることは本当にただ一つしかなかった。仕方のない、息が詰まるような結末。
思い出に残るシーンもあった。万引きして捕まった雄一を本気で叱った継母。自転車で一度追い抜いた継母を少し先で待っていた雄一と、嬉しそうに後ろに座る彼女。ラスト、雄一のライブのチケットを投げ捨てた星野の姿には、もう後には引けないことを自覚した彼の強がりのようなものも感じてちょっと切なかった。戻れないもんかね。ヘラヘラっとできないもんかね。
この映画は最後まで一度観た上で、ファンサイトでのフィリアと青猫のやり取りをもう一回じっくり読んでみたい。一番傷付けながら、同時に一番傍にいたということなのかな?
監督の岩井俊二さんは「スワロウテイル(96)」「花とアリス(04)」の人。うんうん、そんな感じ。イェンタウン、懐かしいなぁ~。
鬱くしい
感受性の問題。
どこにも救いが無いのかもしれませんね。 市原隼人の涙、蒼井優の涙、...
どこにも救いが無いのかもしれませんね。
市原隼人の涙、蒼井優の涙、忍成修吾の涙、、、。涙だらけです。深く傷つけられる不条理な事ばかり。目を覆いたくなります。
でも、凄く儚く淡い雰囲気がなんとも言えない。岩井俊二ワールドって言うのか、目が離せなかった。
こんな現実耐えられないし、あってはならないこと。苦しくて辛くて救いようのない。孤独と孤独とが、朧げに寄り添う姿に胸打たれる。個人的に蒼井優がピカイチに輝いてる作品。
無理のない演出で手持ちカメラの映像もスッと見ていられた。
人によって長いと感じるのかも、だけど見ていられた。綺麗な田園風景を背景にピアノの音色など寂しいシーン、音楽で時間はさほど気にならず見入って見れた。岩井俊二が好きだからかもだけど、人によっては顔をしかめ続けて、単に気分悪いと思っちゃうかもです。
せつない
『リリイ・シュシュのすべて』
残酷な話
リアルで悲しくて美しい映画
中毒性
いいね
イメージと音と感情が入り交じって
ドビュッシーの月の光、アラベスク。
リリイ・シュシュの音楽。
「仕事」を介して、言葉にしないものを共有する彼女と彼。ケータイを通じて、わざとっぽい甘い声のやりとり。3回目の無言のメッセージ。あんたがあたしを守ってよ。きっと大丈夫だよ、と笑顔を見せてくれる。外側から見てると、そんな愛おしい彼女を失うこと、そういうことが本当にあっていいのかと哀しくなる。というのが、観賞中に一番大きく揺さぶられた部分。
ドビュッシーのアラベスクを弾き続ける彼女。
家のアップライトピアノで右手の練習をしてみた彼。
とか、次観るときにはもう少し近づきたいなと思った。
とにかく、イメージと音と彼らの感情が一緒くたになって押し寄せるので、その境界不明な心地よさ、あるいは不快、に身を委ねてしまう。
映像に没入させられた経験としては、この映画に遭えたことはものすごい体験。
こういう類のが
自分にとっては最も退屈。
いじめ、自殺、レイプ そういうのを入れれば深く印象に残るという訳ではない。
ストーリーも惹き付けられる物はなかったし、ただ暗いだけの映画という印象です。
後で思えば、いま活躍している俳優さん達が結構集まっていますね。
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