リリイ・シュシュのすべてのレビュー・感想・評価
全69件中、21~40件目を表示
誰も描かなかった反転された青春の光と影
中高生の時期は坩堝の様に、学校的現実の中にいやおうなしに味噌もクソも一緒に放り込まれ、人間関係の炎で炙られる。それがある者には天国で、ある者には地獄となる。
そのような青春期の日々を、我々は普通に体験してきている。例えば私の高校時代は、クラスを支配する少数の暴力グループによる精神的被虐の色に染められており、集中的にイジメの対象となった生徒は夥しい骨折を負った後、学年末を待たずに退学し、イジメたグループも退学させられていった。授業中に性的虐待を受けていた生徒さえいる。
青春期にとって世界はあまりに美しく見える。それだけに、学校的現実の秩序にひれ伏し、イジメにより理想など蹴散らされ、自分を何ひとつ信じられぬ無価値な人間と思い込まざるを得ないのは過酷というしかない。美しい世界と自分は無縁であり、そこに自分の居場所は用意されていない。幼年期の終わりと同時に人生に絶望していく子どもたちが、現実に多数存在するのを我々は知っている。
こうした現実を「青春」という甘いフィクションにくるみあげるのが、従来の映画や小説のお定まりのルールで、そこにはリアルなど欠片も描かれていなかったといってよい。
本作は、「青春そのものが地獄だ」という中高生の日常の一面を初めて映像化した、画期的な「青春映画」だと思う。
本作の主人公の少年は、手ひどいイジメグループの末端の被害者でありながら、同時に同級生の少女の売春やレイプの手引きを行う加害者であり、もはやあらゆる理想に手の届かないクズの日常を過ごしている。
現実に居場所がない彼は仮想空間に逃避し、リリイ・シュシュの楽曲やネットによる書き込みを通じた自己解放で、かろうじて「エーテル」を獲得することだけに救済を見出している。「エーテル」とは生きる理由である。したがってそれを失うことは、生きる理由を失うのに等しい。
ところが恐るべきことに、同じ「エーテル」を共有していたはずの仮想空間の友人が、実は現実空間のイジメグループのボスであることが判明してしまう。もはや彼は仮想空間からも追い立てられざるを得ない。生きる空間を確保するため、最後に彼は決死の覚悟で自分の生の障害を除去する賭けに出る…。
これは何という、反転された青春映画だろう。しかし、明らかなリアルがここに存在する。それが観客を怒らせ、目を背けさせるのだ。
光と陰影のコントラストを多用した映像と、「印象主義的」と評されたドビュッシーの煌めくようなピアノ曲が、これら青春の光と影を強調している。
この作品を何度も見るのは気が重い。でも、あの美しいシーンたちにもう一度出遭いたいと、また見てしまうだろう。
ふわりと
一生に一度の映画体験
岩井俊二監督を知ろうと思い、軽い気持ちで見ましたが、とんでもないものを見てしまいました。
結論から言うと、素晴らしいという言葉では収まらないほど素晴らしくて、映画なんだけれど、映画じゃない。なんとも言えず、うまく表現できないモヤモヤが漂うような感じで、普通の作品とはだいぶ異質な作品でした。
今までこんな映画体験をしたことはなかったし、今後も二度とこんな思いになる映画はないと思います。
主演の市原隼人さんはじめ、びっくりするようなキャストで、皆さんとても若い。市原さん可愛かった笑
忍成修吾さんの原点のようにも感じました。
星野凄かった。怖かった。
独特のカットの仕方や、展開が早く、次々に新たな登場人物が登場するためかたくさんの短編のオムニバス映画を観ているようです(オムニバス映画観たことないけど…)。
西表島への旅行のシーンをホームビデオ風に撮ったり、久野へのレイプシーンを荒々しく切り取るところに好感が持てました。
とにかく全編通して、映像が綺麗で、音楽もリリイの音楽以外にクラシック音楽から島唄まで多様な音楽がそのシーンの状況をうまく暗示していたと思います。
リリイ・シュシュを軸にして思春期の彼ら彼女らの美しさ、儚さみたいなものが現れていて、観ているのが辛いところもありましたが、また、観たいと思いました。中毒性がありそうです。
ただ、かなり難しいので、私にはエーテルはわかりませんでした。
いつか、分かれるようになりたいです。
中学時代の狭い世界を思い出させる作品
掲示板なつかし
トラウマになった作品
観たのは1度きりです。たしか中学生の頃でした。一度観て、完全にトラウマになった作品です。この作品が嫌いという人の気持ちはとても分かります。ワタシも嫌いです。でも二十年近く経っても時々思い出す。それだけのインパクトがある作品です。ジャンルや悪質性は違えど「Funny Games(1997:オーストリア)」のトラウマ感に似ているかも。。。
「子供ゆえの想像力の限界」を感じた作品でした。彼らの社会、何をすればどう社会が動くか、誰が傷つくか、自分の行いによる影響における想像力の及ばなさ(彼らなりに彼らの知りうる社会の中で苦しみ、事情を抱え、考え、想像し、でも目の前の感情に負け)、を暴力的に描いていると感じました。最後、彼の行為が暴かれるのは時間の問題で、やはり中学生くらいの少年の限界、を描いていたかなと。
観てもトラウマになるだけだし、あえてお勧めはしない、かなぁ、、、
あと関係ないけど、リリィ・シュシュの音楽も超暗い(大好きだけど)。数年後、「彗星は見たこともないけれど」と踊りながら歌うsalyu(リリィ・シュシュ)のMVをみて、なんとなく救われた記憶があります。
感情移入型なので観ていてただつらかった
蒼井優はやっぱりすごい。 なかなか入り込みづらい映画。監督作品の中...
蒼井優はやっぱりすごい。
なかなか入り込みづらい映画。監督作品の中では異質な感じがする。
リアルさを出す為か全体的に長い。舞台かえてまで沖縄やる必要あったのかとも思う。曲がとても素晴らしいことだけがこの映画の救い。
長くても最後まで集中できた。しかし…
古い映画だと感じるけれど、古い感じはしないし、格好良さも感じるので、長く残っていく作品なんだろうなーと思った。
ここから飛躍していった役者は少なくないとも思ったし、そういった面からも大きな影響力を持った映画だったんだなと感じた。
短絡的な暴力や性、そして軽い生と死の表現には非常に抵抗を感じたけれど、あくまでファッションだと思えば結構楽しめるのかもしれない。実際、長くて粗い映像ながらも最後まで集中して見ていた。
ドキュメンタリータッチでナチュラル感を出そうという意図は感じたけれど、かえって違和感を覚えたし、人と人との関係性が非常によそよそしいものに見えてしまった。まぁ現代における人間関係なんてそんなものかなとも思えるわけで、そういった意味では時代をうまく反映させた作品なのかもしれない。
どうしても好きになれない映画だけど、何かしらのメルクマールになるような作品だと認めざるを得ない。
動くカメラとダッチアングル
あとからじわじわくる
全69件中、21~40件目を表示













