「蒼井優や市原隼人ら出演俳優達の好演により、中学生による酷いいじめにリアリティを感じた」リリイ・シュシュのすべて Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
蒼井優や市原隼人ら出演俳優達の好演により、中学生による酷いいじめにリアリティを感じた
岩井俊二 監督による2001年製作(146分)の日本映画。配給:ロックウェルアイズ、
劇場公開日:2001年10月6日。
かなり意欲的というか実験的な映画だが、あまり成功しているとは自分には思えなかった。また、結構退屈なところ(沖縄旅行のとことか)もあった。
実は見ている時は気づいていなかったが、蒼井優(援助交際をやらされる女子高生役で、飛び降り自殺してしまう)のデビュー映画とか。
まあ蒼井に限らず、中学生の主人公市原隼人(いじめられっ子で、歌手リリイのファンサイト運営)も忍成修吾(優等生だったが、不良グループのボスとなり、市原を虐める)も好演で、彼女彼らの演技は印象に残った。また忍成等に強姦されるが、髪を切り坊主頭にして授業に出席し続ける伊藤歩(本当にバッサリ切ったらしい)演ずる女生徒にも、随分と驚かされた。根性の座ったキャラクター設定に感心すると共に、いじめへの斬新な対抗策かとも。
映画としての構成は今ひとつとは感じた一方、学校におけるいじめの嫌らしさや、しつこさ残酷さを、非常に良く描いていた気はした(自分は体験していないので、娘から聞いた範囲での理解だが)。市原がリリイ・ファンサイトで親しく交流していた相手が何と忍成で、コンサート会場でさえ嫌がらせを受け、結局刺し殺すの流れには、凄く可哀想だっただけに、カタルシスの様なものを覚えた。
音楽は、「キリエの歌」で再度組むことになる小林武史。「夢」「月の光」「亜麻色の髪の乙女」「アラベスク第1番」等、ドビュッシーの曲使用が素敵ではあったが、オリジナル曲は殆ど印象に残らなかった。
監督岩井俊二、原作岩井俊二、脚本岩井俊二、撮影篠田昇、録音滝澤修、編集岩井俊二、
音楽小林武史、スタイリスト申谷弘美。
出演
市原隼人、忍成修吾、伊藤歩、蒼井優、大沢たかお、稲森いずみ、市川実和子(ツアー案内)、勝地涼(主人公の友人)、高橋一生(剣道部部長)、樋口真嗣(恐喝されるポルシェの男)。