「ランボー、故郷へ還る」ランボー 怒りの脱出 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ランボー、故郷へ還る
シリーズ2作目。1985年の作品。
前作はアクション映画の形を取りながらベトナム戦争後遺症を描いたシリアスな作風であったが、ほとんどの人が思い浮かべるのは寧ろ本作からではないか。
額に赤いバンダナを巻き、マッチョな半裸で弓矢や機関銃を片手に、一人で戦場で大多数相手に、ド派手にバトル・アクション!
ランボーが“ランボー化”! 覚醒!
前作のラストで逮捕され、過酷な刑務所で重労働を強いられているランボーの元へ、トラウトマン大佐が訪ねてくる。
恩赦の代わりに、軍からある機密作戦。ベトナム戦争の行方不明の捕虜たちを探し、その証拠写真のみを撮るだけというもの。
ランボーは再び、ベトナムへ。
この作戦には、裏が。
ステレオタイプな軍の裏切り。
ステレオタイプな敵国の悪者。
一度は捕らえられ、拷問に遭いながらも、怒りの反撃に出る!
ストーリーは有って無いようなもの。と言うか、話だけ追い掛けていたら、非常に退屈。
後のスーパーヒットメイカー、ジェームズ・キャメロンが脚本に参加していながら…。
ランボーと現地の案内人女性、コーとの淡いロマンスも蛇足。
でも本作は、前作よりアクションが遥かにスーパースケールアップ!
序盤~中盤はまだウォーミングアップ。捕虜収容所に潜入し、救出。追っ手を振り切り、後一歩の所で軍の裏切りで捕まる。ここら辺はスリリングに。
そしていよいよ大見せ場の連続!
ランボーvsベトナム軍!
前作からのランボーの十八番、密林でのゲリラ戦!
弾薬を込めた弓矢で車や橋を爆破!
ド派手な銃撃戦!
ヘリで敵駐屯基地を破壊!
ヘリvsヘリによる一騎討ち!
ツッコミ所多々でリアリティーの欠片ナシ!
でもそれが、THE80年代コマンドー・アクション!
その最たる作品だろう。
アクション映画好きにはスカッと痛快で、前作より好きなのかもしれない。
でも自分としては、前作からのあまりの作風チェンジにいつ見ても戸惑ってしまう。
元々のコンセプトは、前作に感動したベトナム帰還兵たちが、是非捕虜たちの話を作って欲しいと懇願したとか。
確かに話にそれは置かれている。が…
話が進むにつれ、ただのドンパチド派手な戦場アクション映画に成り下がり。
前作での戦争で心に傷を負った者の悲しみは何処へやら…?
つまり、前作は代弁。俺たちの代わりに悲痛な声を訴えてくれ。
今回は、まだ捕らわれている捕虜たちは居る。まだ戦争は続いている。俺たちの代わりに闘ってくれ。
典型的なこの国の戦意高揚映画。
劇中でも語られていたが、戦場/地獄が故郷。
この漢はまたそこに戻って、孤高の闘いをするしかないのか。
そう思うと、悲しい性…。