「骨肉の悲劇…巨匠黒澤のライフワーク!」乱 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
骨肉の悲劇…巨匠黒澤のライフワーク!
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Blu-ray(4Kデジタル修復版)で2回目の鑑賞。
初めて観たのは高校生の頃。DVDを購入しました。仲代達矢のふとすると吸い込まれそうな目力に抵抗出来なくなり、狂ったまま荒野を彷徨する秀虎の姿に呆気に取られました。
一文字三兄弟の血で血を洗う後継者争いは、戦国時代の習いとは言え、結局誰も報われななかった結末に、虚しさとやるせなさを感じて、現代にも通じるような内容なだけに、人間社会の無情に呆然としてしまったことを覚えています。
終始、熱量に圧倒されっぱなしでした。大規模なセットを組んで撮影された合戦シーンはもちろん、一族の骨肉の争いの果てに訪れた凄惨な悲劇に息を呑みました。スペクタクルシーンがもたらす迫力と、登場人物たちが繰り広げるドラマがもたらす人間的な迫力に満ちていました。心を鷲掴みにされました。
楓の方の情念に震え上がりました。
一文字家への恨みを胸に秘め、秀虎引退をこれ幸いと、その息子たちを巧みに操縦し、一族を滅亡へと導きました…。最期のセリフが頭から離れません…(泣)
「怖い女だな」と思うと同時に、もしかすると歴史は、女が動かしているのかもしれないなと思いました。女の強い想いほど、恐ろしいものは無いのかもなぁ…。
黒澤明監督が10年以上の歳月を掛けてつくり上げた執念の成せる業、渾身のライフワーク…。監督のフィルモグラフィーを総括し、これまで語られて来たテーマの全てが籠められている、集大成のような作品だなと感じました。
※修正(2021/09/11)
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