「ある男の数奇な運命」ラストエンペラー 徹2001さんの映画レビュー(感想・評価)
ある男の数奇な運命
学生時代に清朝末期に産まれた老舎という作家の作品を読んだことがある。少し文体が古いばかりでなく、リリカルな表現であったため、苦労しながら読んだものだった。その作家の作品に『養花』という作品がある。中国語入門期の教材などにも取り上げられる、短い作品。特に面白いわけではないが、身の回りにある、どうということの無い日常の中、花を育てることを丁寧に描写している、それだけの作品。ラストエンペラーを観ていて、ふとその作品が思い出された。当時幅広い大衆から愛読され、もてはやされた作家であったが、ご多分に漏れず文革の嵐に呑み込まれ、命を落とすことになる。
愛新覚羅溥儀、皇帝として激動の時代の波に弄ばれた彼の人生。人から見れば一時でもいい思いをしたのだからうらやましいなどと思う人もいるかもしれない。けど、彼の人生はそんな事を望んでいたのではないと思う。確かに、日本軍に取り入り皇帝の座を勝ち得たかもしれないが、彼が本当に望んでいたのは、晩年の庭師の仕事だったのだと、私は考える。毎日、花に水をやり、肥料を与え、のんびりと綺麗な花が咲くのを待ち続ける、心穏やかな人生。
老舎の父親は清朝の軍隊、満洲八旗の軍人であった。紫禁城で溥儀が即位する場面にひょっとしたら参列していたのかもしれない。清朝末期、貧しい生活の中で花を育てたり、コオロギを飼ったり、小鳥を飼ったりしながら生活をしていた。それが貧しい清朝の貴族や宦官(かんがん)の楽しみであったらしい。作品の中にそういった情景が描かれていた。
テレビでは観たことがあったが、このラストエンペラーを映画館で観るのははじめてだった事に気づいた。初上映の頃はちょうど忙しい時期で、観ることが出来なかった。少し時間的な余裕が出来、久しぶりで中国に触れた気がした
わざわざ丁寧なご説明といいねをありがとうございました
リンク先の情報を拝見致しました
やはり明確には判断出来ませんでしたが、国によって呼び名が違う、説明が違う…などで納得出来ました
ありがとうございました