羅生門のレビュー・感想・評価
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芥川龍之介原作。内容はほぼ小説「藪の中」、ほんの少し「羅生門」。映...
芥川龍之介原作。内容はほぼ小説「藪の中」、ほんの少し「羅生門」。映画タイトルは「羅生門」なのにね(笑)両小説とも人間のエゴイズムに鋭く切り込んだ名作です。
小説「藪の中」では真実は語られないままに終わったはずだが、映画では真実が明らかとなっている。賛否が分かれるところか。
エンディングもまた小説「羅生門」とは違う独自のもの。黒澤監督の人間性がなんとはなく感じられます。
二つの小説を独自の解釈を交えつつ、上手く繋ぎ合わせた素晴らしい作品だと思います。私は内容的には小説の方が好きですが(笑)
三船敏郎と京マチ子がうるさい映画です(笑)
原作の羅城門及び芥川版の羅生門との違い
人の心
字幕なしでは全く聞き取れず断念…。
字幕付きで恐る恐るリトライ。
何より芥川龍之介の原作が素晴らしいからなのだと思いますが、アレンジしたにしても流石の名作です。感動しました。
ある殺人事件に関わる3人の証言。
そして目撃者の証言。
全ての証言が食い違う事件を、善人の僧は理解出来ませんが、人間の本質を知る下人は見抜いています。
最後には僧ですら一瞬人間不信に陥らせてしまうこの物語。
僧「人間は弱いからこそ嘘もつく。己さえ偽る。」
下人「一体正しい人間なんているのかい?みんな自分でそう思ってるだけじゃねぇのか。人間っていうやつぁ自分に都合の悪いことは忘れちまって、都合のいい嘘を本当だと思ってやがんだ。その方が楽だからな。」
「人の気持ちを考えてたら切りがねぇ。手前勝手でねぇやつが生きていかれる世の中じゃねぇや。」
盗賊、疫病、飢饉、火事、戦より恐ろしいのは人の心。
サスペンスとして観ても面白いです。
【多襄丸】
*悪名高い盗賊としての見栄
●隠したいこと
真砂に惚れてプロポーズしたこと。夫に見放されるような女にプロポーズして格好悪くなったこと。実は大したことのない戦の腕前と武弘を殺すのが怖かったこと。そして決闘で勝っても真砂に逃げられたこと。
○正直に話していること
真砂の気性の激しさに惹かれたこと。真砂に武弘と戦うよう仕向けられたこと。武弘の殺害。
【真砂】
*辱められたが同情を買って世間体を保ちたい
*女の意地
●隠したいこと
激しい気性。男達に決闘をけしかけたこと。夫の死の原因を作ったこと。
○正直に話していること
夫に蔑まれて傷付いたこと。
巫女=武弘の前提で。
【武弘】
*夫としてのプライド
*男の見栄
●隠したいこと
妻を寝取られた悔しさ。決闘で負けて殺されたこと。
○正直に話していること
多襄丸が妻にプロポーズ。妻を軽蔑。妻の言動に傷付いたこと。刺さった刀を誰かが抜いたこと。
【杣売】
*正直な部外者でありたい
●隠したいこと
短刀を盗んだこと
○正直に話していること
多襄丸のプロポーズ。真砂による決闘の提案。多襄丸が武弘を殺害。
多襄丸が本当に短刀の行方を知らないのなら、武弘から太刀を抜いたのは多襄丸。実は多襄丸が短刀で殺していた、もしくは真砂が戻って来て、死んだ夫を(見て気絶したかは不明だが)改めて短刀で刺したのなら、抜いたのは杣売。不明点はここだけ?
誰も暴行と殺人(自死)については隠さない…(°_°)。
そもそも詐欺がいけないでしょう…。
死んだ人間まで嘘をつくのか??
死人に口なしどころか…。
本当、あの世に逝ってまで見栄は張りたくないかな…。
本作以降、登場人物の数名は「七人の侍」メンバーに!
「人間」を描く。
昔の作品であってか、所々でセリフが聞き取れなかったし、雨音と笑い声がデカすぎるのがかなり気になった。しかし、内容をみると、さすが現代の作品にも劣らない名作といわれるものだなと思った。
何が嘘でどれが真実かなどはどうでもいい(自分なりに考察するのは面白いと思うが)。この映画が描きたかったのは人間の本質だと思う。人間の心は欲にまみれ、偽善に汚れ、何を信じればいいのか分からなくなる。しかし人間の本性は善であるように(性善説)、どんなに偽善に汚れようが、同時に善の心も持ち合わせている。だから、信じていくことができるのだ。そんなことを、この映画・黒澤監督は伝えたかったのだと思う。最後のシーンでその事がよくわかる。
異なる証言
ある殺人事件を巡って当事者3人の証言が三様に異なる。事件を客観的に見ていた人物が語る真相により、何故3人が異なった証言をする事になったのかが見えてくる。
プライド、意地、見栄、世間体、罪悪感、人間の持つ色々な感情を想像させられる。
そして、最後に客観的に見ていた人物ですら、事実を隠している事が明らかになる。
人は生きていく為、他の誰かの為にも嘘をつく事がある。人を信頼し信じる事は、嘘もひっくるめて信じられるかどうかなのかもしれない。
噓をつく人がいても、それでも正しく生きる。
黒澤明監督の映画である。盗賊が夫婦を襲って奥さんをおかして夫を殺してしまうという性暴力の話なのだが、その経緯が当時者3人によって証言が食い違い、何が本当なのかという事になる。捕まえられた裁判のような場で、まずは盗賊が証言する。次に奥さんが証言する。盗賊と奥さんの言い分が、夫の死に至る経緯がまるで違っている。次が現実的でないと言ってはおしまいだが、巫女の口をかりて死んだ夫が証言するのである。これもまた二人の証言と違っている。これで何が本当なのかとすると推理になってしまうのだが、私が最初みた限りでは、なぜか、巫女の口からではあるが夫が妻の事を悪者にしているのが不自然であった。とすれば、わざわざ妻を悪者にしてまでの話だから死んだ夫の証言(変だが)が事実だろうかとも思えてしまう。そこからなぜ妻と盗賊がそれぞれ違う証言だったかを推理したほうが良いだろうか。これは現代人としては巫女には失礼だが、そうすると変になるか。
盗賊と奥さんの話だけ比較すべきだろうか。だとすると。メモしていないのでわからなくなってしまった。私の記憶力がそもそも弱すぎた。ところが羅生門でそれを目撃したという男が、裁判のような場ではないからと別の雨宿りの男に語り始める。すると、死んだ夫が冷徹だったと言うことになる。
しかし奥さんの言葉でそれを改めていた。羅生門の男の話が一番女の情念を感じるだろうか。では妻の証言は何だったか。それに、羅生門の男お言い分が正しいなら、どうして奥さんは夫に背後から味方しなかったのか。夫が勝つものと信じたか。男なら闘って女を奪えと啖呵を切ってしまったからか。盗賊はかっこうをみせるためにそう語ったのか。やはりでは奥さんの証言の違いは。
その心理を考えるのがみそなのか。奥さんは盗賊のほうに味方していたような証言だったことになってしまうのか・・・。雨宿りは3人いたのだが、羅生門に残る2人の間の最後への会話が、噓がつける人間をどう信じるかという賭けを考えさせる。戦争後5年の間に作られ上映された映画だ。
戦争からの噓と、それでも人間は信じていかねば社会が成り立たないという意味もあったのだろうか。
解らない
何を喋っているのか聞き取れなかった。残念。 字幕があればなー ーー...
わからねぇ
黒澤映画初心者に
世界が日本映画を認知するきっかけとなった映画史的に極めて重要な黒澤明の代表作のひとつ。
本作は橋本忍が芥川龍之介の「藪の中」を脚本化した「雌雄」という作品に同じ芥川の「羅生門」のエッセンスを加えて成立している。橋本の脚本が映画にするには短かすぎたかららしい。ストーリーはとても観念的で、分かりやすい物語しか理解しないひとには向かない。しかし映画好きなら映画が英語ではmotion pictureとも呼ばれる意味が染み込んでくるはず。
斬新なカメラワークと実験的な殺陣。セリフは簡潔で少ない。むしろ俳優の動きとそれを追うカメラがこの映画の魅力。まさにmotion picture。海外で絶賛された理由のひとつだ。
昨今のひとはモノクロの映画がダメらしい。しかし黒澤映画の多くはモノクロ。それだけの理由で観ないのはもったいない。この映画は短いし、観念的ではあるが小難しいストーリーでもない。黒澤映画を最初に観るにはうってつけ。モノクロ映画も良いとなったら、「生きる」や「七人の侍」も観てください。そして小津安二郎や成瀬巳喜男や山中貞雄の名作も。あなたの映画体験がさらに豊かになります。
考えさせられた
ラスト10分のテーマの集約がすごい。
同じ人間でも、見る人の立場によって善にも悪にもなり得る、的な映画は最近よくあるけど、
人間の心の動きの複雑さそのものについて考えさせられた。
単純に良い人と悪い人が共存してるわけではなく、両面備えてることを全員が自覚しつつ巧妙に騙し合い助け合いながら生きてる、というのがまさに人間社会のあり方なわけで。
だから、冒頭で「あんな恐ろしい話が!」と前振りがあって始まった回想場面も、終盤には「そんな話珍しくもない」と一蹴される。
確かに現実社会に比べたら揉め事レベルの出来事でしかないし。
語り手3人の中で善、悪、一般人が分かれていたのは面白かった。一般人が善に目覚めて去っていく場面見ながら、でもこの後何するかわからんよな…と疑ってしまったから、もう私も人間の良心を信じてないのかもしれない。
もっぺん観たい。
食い違う証言作
大雨と羅生門
3人の当事者の食い違う証言
目撃者が語る無様な真実(無様な殺陣)
捨て子の服を奪う下人
捨て子を連れて帰る杣売りに希望を見る旅法師
人は保身のために嘘を付く、真実は藪の中
人間とは・・・
回答付きの「藪の中」
人の不完全性が描かれている。
人の醜悪さを前面に押し出しつつも、最後は希望を見出す。
監督の解釈を踏まえた「藪の中」。
行為自体ではなく、行為に至った動機を問う。
嘘とは何か。盗みとは何かを聞いてくる。
しかしこれを今、面白いかと言われると…さすがに古典かな。
貞操観念やら現代の感覚と違いすぎる。
名作の誉れ高いが
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