汚れた血のレビュー・感想・評価
全3件を表示
飛べない生
レオス・カラックス監督の「アレックス三部作」第二作。
アンナ(ジュリエット・ビノシュ)とリーズ(ジェリー・デルピー)が綺麗すぎて鼻血出そうになった。そしてレオス・カラックスはジュリエット・ビノシュをミューズだと直感したんだと思う。綺麗に撮ろうとする意志がショットに現れている。
アレックスは誰を愛しているの?
アレックスはリーズとセックスを伴う恋愛をしているけれど、彼女が危険を被ってはいけないとして捨てる。こんなにもリーズのことを想っていて素晴らしいと思いきや、アンナにすぐに目移りする。アンナとおじさんとの愛に嫉妬をするように。アレックスとアンナの一夜を共にするかの駆け引きは、彼が彼女に弄ばれていて可哀想と同時にそんなにムキになるなとも思ってしまう。
けれどアレックスとアンナに愛が現れてしまう。その愛はセックスを伴わない。リーズとの関係とは全く違う。この時、セックスのない愛は、愛のないセックスで感染するウイルスが蔓延する世界において、至高の存在として立ち現れたはずである。
しかしそれは観念的だ。現実から「飛べない」。リーズはバイクで追っかけてくるし、アレックスは銃で撃たれてしまっている。彼らは誰も「飛べない」。アンナが飛行機のふりをするだけだ。この結末はとても悲しい。ではどのように愛するの?それは『ポンヌフの恋人』で語られている気がするから、もう一度みてみようと思う。
片頬に塗られた血が全てを表していた。アレックスの心は既に元恋人の元...
片頬に塗られた血が全てを表していた。アレックスの心は既に元恋人の元を離れていた。元カノもそれを自覚した。一つ分からないのは序盤と終盤に出てきた白いドレスの婦人。
お気に入りのシーンが多い。部屋に残されたボクシングの的、飛行場での旧友との再会、序盤アレックスが仕事の説明を車で受ける際のボヤけた街灯の流れ、序盤の元カノとの装着シーン、飛行機から飛び降り訓練の跳ぶなで跳んだ所、モダンラブも。信号機のアップも大好き。
アレックスとアレックスに仕事紹介してきた仲間がお気に入り。
私も階段の一段一段に感謝するわ。
退屈で飽きる
ところどころハッとするシーンやカットがあるもののだらだらしたシーンが長くて眠くなる。仕事をいつするのか待っていてもずっとだらだらしていて、その仕事でどれほど手先の器用さを発揮するのかと思ったら全くそんな場面はなく、実に肩透かしだった。
謎の病気も物語と関係がなかった。
本当に退屈だったのでデビッド・ボウイの『モダンラブ』が掛かった時はうれしかった。
アレックスが路上に止まっているワーゲンを持ち上げてひっくり返すところで、一緒に見ていた赤ちゃんが「わっ!」と声を出して、その後2階から紙がひらひらと落ちて来る場面でうんちをした。
レオス・カラックスはあと『ボーイ・ミーツ・ガール』も見ようと思っていたけど、本当につらい。もういいや。
全3件を表示