劇場公開日 1988年2月6日

「赤や青のビビッドな色彩のドレスが一段と映える映像美が印象的」汚れた血 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0赤や青のビビッドな色彩のドレスが一段と映える映像美が印象的

2024年10月8日
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鑑賞方法:映画館

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早稲田松竹さんにて「クレール・ドゥニ×レオス・カラックス×ハーマン・メルヴィル」特集上映中(24年10月5日~10月11日)。本日はアレックス3部作の第2弾『汚れた血』(1986)を初鑑賞。

同年代にデビューし、ともに「恐るべき子供たち」と称されたリュック・ベッソン監督はずっとフォローしておりましたが、カラックス監督は観念的で難解なのでずっと避け続けてましたが、知天命の年を過ぎ、食わず嫌い克服を目的に鑑賞。

“愛情を伴わない性交渉で感染するウイルス”が蔓延、ハレー彗星も近づき異常気象の近未来のパリ。閉塞的な日常に嫌気がさしたアレックス(演:ドニ・ラヴァン)が自殺した父親の多大な借金を返済するため、父親の旧友マルクたちとワクチンを盗み密売する計画に参加、そのなかでマルクの恋人アンナ(演:ジュリエット・ビノシュ)に出会い運命を感じる…と近未来SF、クライムアクション、そしてラブストーリーが混在するストーリー。

ゴダールの再来といわれるカラックス監督だけにセリフ回しが観念的で個人的には難解でしたが、寒々とした色調の統一とフィルムの質感のなかに、アンナの赤や青のビビッドな色彩のドレスが一段と映える映像美が印象的でしたね。

場内には公開当時まだ生まれてないだろう若いお客さんが多くて驚きました。
わたしも20代前後の若いときに本作を鑑賞したら、主人公に共感して全く違う感想だったでしょう。
本作同様、第3部作最後の『ポンヌフの恋人』(1991)も未配信で観れる機会がないのは残念ですね。

矢萩久登