「飛べない生」汚れた血 abokado0329さんの映画レビュー(感想・評価)
飛べない生
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レオス・カラックス監督の「アレックス三部作」第二作。
アンナ(ジュリエット・ビノシュ)とリーズ(ジェリー・デルピー)が綺麗すぎて鼻血出そうになった。そしてレオス・カラックスはジュリエット・ビノシュをミューズだと直感したんだと思う。綺麗に撮ろうとする意志がショットに現れている。
アレックスは誰を愛しているの?
アレックスはリーズとセックスを伴う恋愛をしているけれど、彼女が危険を被ってはいけないとして捨てる。こんなにもリーズのことを想っていて素晴らしいと思いきや、アンナにすぐに目移りする。アンナとおじさんとの愛に嫉妬をするように。アレックスとアンナの一夜を共にするかの駆け引きは、彼が彼女に弄ばれていて可哀想と同時にそんなにムキになるなとも思ってしまう。
けれどアレックスとアンナに愛が現れてしまう。その愛はセックスを伴わない。リーズとの関係とは全く違う。この時、セックスのない愛は、愛のないセックスで感染するウイルスが蔓延する世界において、至高の存在として立ち現れたはずである。
しかしそれは観念的だ。現実から「飛べない」。リーズはバイクで追っかけてくるし、アレックスは銃で撃たれてしまっている。彼らは誰も「飛べない」。アンナが飛行機のふりをするだけだ。この結末はとても悲しい。ではどのように愛するの?それは『ポンヌフの恋人』で語られている気がするから、もう一度みてみようと思う。
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