「あの引用元を発見」揺れる大地 よしたださんの映画レビュー(感想・評価)
あの引用元を発見
断崖の海岸での漁師の青年とその恋人との逢瀬のシークエンス。岩場に横たわるキスシーンは、「ニューシネマパラダイス」のラストで流れる、切り落とされた数々のキスシーンの中の一つだ。
女優の顔に不自然なくらいに当てられた光が印象的で、そのショットの背景から海面から照り返しを表現してるのかもと想像していたけど、まさにその通り、このキスシーンが海でのものと分かり嬉しかった。
物語は漁師たちと仲買人たちの階級闘争史観的な軋轢を扱う。
現代的な視点からは、問題は仲買人による「搾取」ではないのだという議論を吹っ掛けることはたやすい。しかし何と言ってもこれはトトとアルフレッドがシチリアの小さな村の教会で映画上映に情熱を傾けていた時代の見方である。今から見れば大時代な問題提起である。
そうした面で、現代の観客の共感を得ることがすでに難しいこととなった作品である。
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