許されざる者(1992)のレビュー・感想・評価
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銃と暴力が支配する世界。許されざる者とは?
ネットで視聴(英語字幕)
舞台の背景は1881年のアメリカ西部。
アメリカではまだ西部劇の真っ最中だが、ヨーロッパに目を転じると、イギリスはヴィクトリア女王治下の最盛期の時代。
「デビッド・コッパーフィールド」が発表されたのが1850-51年。
作者のチャールズ・ディケンズが亡くなったのが1879年。
ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」は、70年あまり遡って1813年。
フランスは第3共和制の時代で、パリ・コンミューンが10年前の1871年の5月。
「ボヴァリー夫人」(1856年)の作者フロベールが1880年に亡くなっている。
ドイツは鉄血宰相ビスマルクの時代。
「資本論」(1867年)のカール・マルクスが亡くなったのが1883年。
ロシアはアレクサンドル2世の時代。
ちょうどこの年、1881年にドストエフスキーが亡くなっている。
代表作の「罪と罰」は1866年、「カラマーゾフの兄弟」は1880年。
日本は1868年の明治維新を経て、立憲運動が盛んになっていた時代。
1881年は国会開設の勅諭が出され、板垣退助が自由党を結成した年。
こういうふうに、1881年は、ヨーロッパでは資本主義・帝国主義の爛熟と国家間の衝突が眼前に現れつつあり、後発国である日本も、列強に追いつこうと国家体制の整備を急ピッチで進めていた時代。
一方、アメリカでは、住民が拳銃を振り回しながらマン・ハントをやっていた。
オースティンやディケンズが描いたイギリス中流社会や、フロベールの田舎風景、ドストエフスキーによるペテルブルグの地下生活に比べると、いかにも野蛮で、文明の遅れが目立つ(今も?)。
映画ではイギリスから来たガンマンが登場するが、アメリカはこの時代、はぐれ者や冒険家たちが、一攫千金を夢見て数多くやってきたのだろう。
かれをはじめ、主人公のマニー(クリント・イーストウッド)も、友人ネッド(モーガン・フリーマン)も、保安官リトル・ビル(ジーン・ハックマン)も、みな荒々しい無法者で、暴力や殺人を意に介さない。
町の人間たちもその点は同じだ。
人を雇って殺そうとする娼婦たちも。(実際にカウボーイが殺されている)
唯一まともそうなのが、ネッドのインディアンの妻とマニーの子供たちだけという世界。
銃と暴力が支配するこの世界で、許されざる者というのは、はたして誰を指すのだろうか。
映画は傑作。
何度見ても見飽きない。
ヒーローか、はたまた
アカデミー賞❗️
あえて言おう、「名作」であると
名作という印象はない映画
今やるとしたら、パロディにしかなり得ない西部劇、芯を食って評価された最後の映画になるんでしょうか。オマージュに走るか、「ジャンゴ」みたいに違う方に飛んでいくか。
日本でいう「用心棒」みたいなつくりの時代劇もそうかもしれません。
意外と効いているのがあの小説家。重要なシーンで場を繋ぎ、背景説明の役割も果たしているという。
でもなぜか特別、名作という印象はない映画です。
クリント・イーストウッド監督作繋がり、という事で、アメリカン・スナ...
イースドウッドテーマが盛り込まれまくっている&殺人マシーンに変貌するマニーの前半のへっぽこで萌える
かつて賞金稼ぎというか悪党だったクリント・イーストウッド演じるマニーが子供のために賞金稼ぎに行くのだが、それが原因で復讐劇に巻き込まれる西部劇。
マニーが賞金稼ぎに向かう先の保安官が統治する街は銃の規制が徹底されており、復讐や賞金稼ぎができないような管理社会。
(これってアメリカへの皮肉?)
そんな社会の中で真に裁かれるべきものが裁かれることがなく、結果悪が跋扈してしまっている。
そんな悪に怒りの鉄槌をかますのがマニー…って単純な話でもないと思われる。
単純な西部劇フォーマットかもしれないが『暴力は連鎖しか生まない』『人を殺すことでPTSD』『経験者(年長者)からルーキーへの継承』『それぞれの正義とそれぞれの生活』というイーストウッド作品のテーマがしっかり入った作品なんじゃなかろうか。
(かなり俺視点かもしれないが)
それにしても銃をぶっ放すイーストウッドの恍惚とした表情はぬぐえ泣き潜在意識が出てますな〜
あと主人公マニーのへっぽこシーンは『今は普通のじいちゃん』演出なんだろうけど、普通のじいちゃんにしてもへっぽこすぎてギャグとしか思えなかった。
主人公以外にも大工仕事が苦手なのに大好きな保安官や、アホで臆病な若手ガンマン、街に来たから売春婦を買えるぜ!とウキウキするモーガンフリーマンなどいい感じに緊張が解けるシーンがあるのはいい感じ!
男クリント・イーストウッド
いずれもう一回
イーストウッド監督は、すごい
それぞれの正義
それぞれの思惑
総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:70点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
男を笑った娼婦、娼婦を傷物にした男、男を殺すべく賞金を懸けた他の娼婦たち、町を自分の強引なやり方で支配し治安を守る保安官、賞金につられた若者と、生活が苦しくて娼婦を助けるという大義名分をもって殺しをする主人公たち。
それぞれがそれぞれの理由と正義を持っていて、みんなが間違いを犯している。
町の悪人をよそから来た主人公が壮絶な戦いで倒すだけのかつての西部劇が、複雑な事情が絡み合った、誰も絶対悪ではなく絶対正義でもない物語に変わった。単純な話がそんな単純ではないのだと、事情を教えてくれる深みのある西部劇になっている。
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