劇場公開日 2002年6月8日

「薄っぺらいデジタルのような人間関係へのアンチテーゼ」模倣犯 Don-chan(Daisuke.Y)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0薄っぺらいデジタルのような人間関係へのアンチテーゼ

2024年6月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

難しい

宮部みゆきの長編小説の映画化。
デジタル要素が散りばめられた映像でエンターテインメントに特化している。
前半は被害者側をピックアップし、後半は犯人視点で事件の種明かしをする。

森田芳光監督のアイデアが詰め込まれていて一風変わった映画に仕上がっている。
カメラワークも独特で、映像的にやりたい放題なところがあり、この事件の真犯人は監督なのではないだろうか、とさえ思えてくる。
天才でイケメンの"ピース"こと網川浩一(中居正広)と、普通の戦争経験者である有馬義男(山崎 努)のやりとりが面白い。網川は有馬に理想の父親を感じていた。
前畑滋子(木村佳乃)が「模倣犯」であるとTV番組で発言し、犯人を挑発する場面も良い。

直接的に神に言及する場面は少ないが全体的に間接的に神秘性をまとわせ、人と人の希薄な関係へのアンチテーゼがある。
ラストの有馬に託された新しい命については、円盤の特典映像でも答えは明らかにされていない。その真相は、あらゆる可能性があり考察の余地がある。

Don-chan