もののけ姫のレビュー・感想・評価
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劇場でこそ映える最高峰のジブリ作品
子供の頃に不可思議でドキドキする物語でも、大人になると観る視点が変わり初動から胸を鷲掴みにされ涙しました
宮崎駿監督の世界、久石譲さん音楽、関わったクリエイターの方々、全て震えるほどの感動を再度頂いた
キャラクター達の個性がより鮮明にインプットし直され、バックボーンも含め考察している自分にも驚き
アシタカはとにかく小柄な体型だが男の中の漢!ジブリの中でも一番好きな男性キャラクターです
そして、勇ましいサンや母性愛のモロ、未来の礎になろうとするエボシ、ナウシカの声優もされていたトキにさえも愛しくて仕方がない
クライマックス、あれは津波
欲を出した人間は愚かな竹箆返しに襲われる
当時は難しい内容だったが今なら分かる
劇場でこそ味わえる臨場感を堪能出来、幸せでした
(ただジブリ作品での声優の選出はいつも私達とのズレを感じさせ、演者の上手い下手が別れてしまうのが惜しい)
世紀末の時代の熱を感じさせる名作
●20世期末、これから世界はどうなるのだろうかと不安になっていた人々に向けられた「生きろ」という情熱的なメッセージ。
●アシタカ、ハンセン病の人々の呪われた感覚は、その時代の若者の気分にフィット。
●風の谷のナウシカのセルフアップデート。より深みを増した。
『天気の子』への継承
昨日のナウシカに続いて、今日は『もののけ姫』。
テレビでしか観たことがないという家族を「劇場で観るのと全然違うから」と無理やり連れ出しましたが、大正解。家族揃って(昔、日比谷スカラ座あたりで観たはずの私も含めて)『こんな凄い映画だったんだ』と唸ることになりました。
アクション、スペクタクル感、登場人物一人ひとりの人物的魅力。練り込まれたストーリー、この先の展開について誰もが想像を膨らませたくなるラスト。そして、映画館ならではの大音量で響く、もののけ姫の世界観に完璧にマッチした久石譲さんの音楽。今、もし『完璧な映画』ってどういうの?と聞かれたら、真っ先にこの作品をあげると思います。
(以下、なぜ『天気の子』なのか?
断片的な記憶を寄せ集めた独善的で浅〜い考察です。)
人間世界の豊かさを追求するうちに、自然への崇敬や畏敬の念を失い、身勝手な欲得や利害を優先するようになってしまった人間たち(監督自身も含めて)への失望や憤りみたいなものは、ナウシカを作った頃の世界とも共通する部分だと思いますが、その後に迎えたバブル経済を見て、監督の中ではいよいよその思いがピークに達したのではないでしょうか。
『もののけ姫』には、アニメの仕事を生業としている監督がこれからを生きる子どもたち若者たちに示すことができるとしたら、それは何か? というメッセージも多分に込められているような気がします。
大人たちの作ったこの世界が行き着くところまで行くと、破滅的なことになるかもしれないし、シシ神の森が消えた世界に一度は絶望したサンと同じように、若い世代の人は、もう嫌だっ!こんな世界で生きたくない、と思うかもしれない。たぶん、これからも人間世界の営みや、この世界を動かす仕組みというようなものは簡単には変えられないのは事実です。
それでも。
それでも、生まれたからには、『生きろ。』
ただ嘆いたり、怒りに駆られて自暴自棄になったりすれば、乙事主が言葉を失ったように、知的精神的に退化することになるだけで、タタリ神のように社会の毒になってしまうかもしれない。
サンのように、嫌なものは嫌で無理に合わせる必要はないし、アシタカのように、曇りのない目で今そこにあるものを見つめ、ともに生きるにはどうしたらいいのか。それを考えながら生きていくことはできる。
この映画の公開は1997年。
この映画に感動したはずの大人も子どもも、グローバリズムという新たな価値観に飲み込まれて、(結局は〝欲得〟追求がIT技術も絡めて複雑化、先鋭化しただけのように私には見えるのですが)国も民間も最終目標が〝株主利益を高める〟ことで一致。結果的に森林破壊、温暖化が増進。挙げ句の果てに、人間社会の分断、差別化まで顕著になってしまいました。
自然界からのしっぺ返しとして、近年、豪雨、旱魃などの異常気象が世界中で頻発、森林破壊は未知のウイルスと人間が遭遇する機会も増やすことになりました。
こうして振り返ってみると、2019年の夏に公開された『天気の子』にも宮崎駿監督が22年前に発したメッセージと同じ要素が詰まっていることに気がつきます。
『生きろ。』
自然破壊(異常気象)だけでなく、格差や分断という人間社会の内側の大きな問題まで加わり、さらに生きづらくなってしまいましたが、生まれてきたからには、選択するしかないわけです。
社会から刷り込まれた経済成長至上主義やあらゆるものに〝効率化〟を求める今の常識を疑い、アシタカのように曇りのない目で、世の中を見つめ、皆んなが考えなければいけないのだと思います。
ともに生きていく道はないのか?
自然破壊に対する警告
「一生に一度は、映画館でジブリを」のジブリ特集にてスクリーン鑑賞。確かにこのジブリ作品を映画館で観たことはない。言わずと知れた宮崎監督の国民的名作であれこれ語るまでもない。
この作品の意味するものは自然破壊に対する人間社会への警告でしょうか。
2020-105
自然と人間の共生
この映画は正直内容が難しかったです。おそらく自然と人間の共生をテーマにしていると思うのですが、哲学的な表現も多く、いろんな解釈ができると思いました。
ストーリーの分かりやすさでは千と千尋の神隠しのほうが断然上です。
生きる為の対立
コロナの影響でTOHOシネマで特別上映された本作品を視聴しました。子供の頃見てから20年振りに見返す事になりました。
昔は最初が気持ち悪いとか、コダマ可愛いとか、音楽が秀逸とか、こういった表面的な印象が強く残ってました。
ただ大人になって見たら、そんな所は全く興味なく人間と動物の心理描写に目を奪われてしまいました。主人公誰!?って思うくらい一人一人丁寧に描かれてます。
そして一人一匹が主体性を持って動き、生きるために最善を尽くす。その結果、対立を生む。
素晴らしい映画でした。
やはり個人的ジブリ最高傑作
6/26からのジブリ作品特別上映もあり
新作と梯子で観賞
その新作より客が入っており
さすがだなぁと思いつつちょっとさみしい気分に
あんまり過去作の感想は書かないが
やっぱり良かったので記念に書いとく
ジブリ作品は一通り見てきて
紅の豚が好きなくらいだけど久しぶりに観ると
ジブリ最高傑作っていうとやっぱこれかなと
各勢力の距離感・根拠・描写が均質で
一番遠方から来たアシタカが調停者であり続ける
構図はホントバランスが良い
人間が神に絶対適わないわけで無い部分て
現代のメタファーだよなぁと今観ると思わされる
特にアシタカがたたら場の未亡人に撃たれるシーンと
石火矢製造シーンが好き
アシタカは全ての憎しみを全部その身に受ける
エボシは女性にも病人にも仕事と生きがいを与える
つまりここにも人々にとっては神がいるという意味
自然を壊すな、神を敬えといった一辺倒な説教臭さがなく
どうやって共存していくんだという投げかけになってる
それぞれの生きる意思と理由と覚悟を描いてるとこが
「フェア」に感じた
それ以降のジブリ作品はそこが感じられない
いやある意味この作品でやり切ってしまったのかもしれない
とても良い映画
いやぁ、面白かったなぁ…(笑)
2時間強、最後まで食い入るように観てしまった…セリフが一部聞き取りにくいのも含めて(笑)
…吹き替えはやはり俳優ではなく、"声"が専門の声優さんにお願いしたい。
テーマは"自然との共生"ということなんでしょうけど、鑑賞中そこに想いが馳せると一気に面白く無くなる(笑)…
…劇中、色んな神様やキャラクターばかりで、覚えるのが大変なんですよねぇ…それぞれの役割とか関係性とか…一瞬頭の中がフリーズしたりして(笑)なので、ストーリー構成とか、もっとシンプルにして欲しかった…。
『コナン』とかもそうなんですが、男の子の冒険譚は、やっぱり面白い。
*観賞後、派手な演出や場面ばかりが印象に残って、キャラクターの印象が意外に薄いなと感じた。なんだかカッコ良さばかりが目立って、人間的な部分の描き方がステレオタイプ過ぎて、面白みが無かったかなと思いました。余計なセンチメンタリズムは必要ない…ということなんでしょうね。
*"宮崎駿ここに極まれり"みたいな作品でした…キキもトトロもハウルもポニョも未だ観たことは無いんですけどね(笑)
『風の谷のナウシカ 』の精神的続編。 天才・宮崎駿ここに極まれり❗️
自然を軽んじる様になった中世日本を舞台に、呪いにより村を追放された青年アシタカが、山犬に育てられた少女サンと出会うことにより神々と人間との戦に巻き込まれていく時代物ファンタジー。
監督/原作/脚本は『となりのトトロ』『魔女の宅急便』の、巨匠・宮崎駿。
山犬の姫サンを演じるのは『3-4x10月』『平成狸合戦ぽんぽこ』の石田ゆり子。
タタラ場の頭領、エボシ御前を演じるのは『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』『夜叉』の、レジェンド女優・田中裕子。
第21回 日本アカデミー賞において、アニメーション作品としては初となる最優秀作品賞を受賞!
20数年前、少年時代に映画館に連れて行ってもらい鑑賞した『もののけ姫』。
満員の会場で立ち見をした記憶が朧げながらある。
この時に受けた衝撃こそが今の自分を形成しているといっても過言ではないかもしれない。
それだけこの映画はすごかった!
今まで自分が観てきた子ども映画とは全く違う、いい知れない何かがこの映画には存在していた。
そして時は流れて2020年。
まさかこの映画が映画館で再上映されることになるとは!これが怪我の功名というものか!
本作を一言で表すならば『風の谷のナウシカ2』。
『ナウシカ 』で描いていたテーマを再構築して再び映像化したといったところでしょうか。
そのため『もののけ姫』と同時期に『風の谷のナウシカ 』も再上映されるのはありがたい!流石ジブリ、わかってらっしゃる。
『もののけ姫』を鑑賞後、連続して『ナウシカ 』も劇場で鑑賞するというフルコースを味わうことが出来ました!
映画版『ナウシカ 』は同名漫画の連載中に作られたもの。
そのため、漫画版『ナウシカ』と映画版『ナウシカ 』はかなーり作品のテイストが違う。
漫画版ナウシカの連載終了は1994年。
『ナウシカ』の完結は映画公開年とは10年も間が開いており、当然ながら原作と映画版を比べると物語の展開からキャラクターの描き方から作品全体に流れる思想から何もかも違う。
本作は制作に3年かかっているらしいので、漫画『ナウシカ』完結直後くらいから作り始めたのだろう。
おそらく宮崎駿は漫画版『ナウシカ』を映画化したかったのではないだろうか。
とはいえ『ナウシカ』はすでに映像化しており、同じキャラクターを使ったアニメは作りたくない。
そこで始まったのがこの『もののけ姫』というアニメの企画だったのではないかと予想しています。
自然を敬うことを忘れ、神々の住う森をただの資源として扱う様になった人間たち。
その人間を率いる女頭領エボシは森の住人からしたら悪魔の様な存在。
しかし、売られている女を見れば片っ端から買い仕事を与え、ハンセン病患者にも分け隔てなく接し、周辺国の大名に屈することのない豊かなコミュニティを築き上げている彼女の姿は、我々人間からすれば非常に優れたリーダーの様に映ります。
神々に対する敬意を忘れ自然を汚す行為の傲慢さ。
しかし、自然を破壊することにより発展してきた人類を完全に否定することも出来ない。
その二律背反的なテーマを、「曇りなき眼」で見つめ描き切った宮崎駿の偉大さよ!
大体、時代劇でも室町時代の地方を描いた作品なんてほとんどないと思うのです。
そんなよくわからない時代・場所を舞台に映画を作ったことがまず凄ぇ。
こんなこと普通の人間にはできない。
宮崎駿以外で出来そうな監督…全く思い当たらない。おそらく今後も出てこないでしょうね。
アニメーションの凄さも日本歴代最高到達点だと思う。
アニメの世界では、犬を動かすのが一番難しいと聞いたことがありますが、これほどまでにリアルな犬の描写が沢山描かれるアニメも他にないかも。
今や馬を走らせることのできるアニメーターも少なくなったと聞いたことがあります。このアニメの様に、生き生きとした動物が沢山登場する作品は今後生まれないのかも知れないですね…。
アシタカかっこよすぎ!
俺の右手が疼くぜ…!的な厨二的な属性を持っていながら、全く痛々しくないのはそのイケメンな顔面と性格のおかげかな。
人間離れした身体能力と、神仏の様に達観したメンタリティは正に漫画版ナウシカを見ているよう。
アニメ界のイケメンNO.1は間違いなくこの人。声もサイコー。
昔はなんとも思わなかったが、改めて観るとサンがめちゃくちゃ可愛いことに気がついた。
素の話し方がかわいい。小刀を貰った時に、女の子っぽくなるところもかわいい。
エボシもジコ坊もゴンザもみんないいキャラクター。
悪役(に見える)の人間もみんな魅力的なのがこの映画の凄いところ。
脚本・キャラ・作画・テーマ・役者、全てにおいて一級品の伝説的な映画。
日本映画界の一つの到達点として、今後も語り継がれることでしょう。
文句なしの満点!
単純な自然賛歌、文明批判ではなく、政治闘争劇だったことが驚き。
公開から23年も経って、まさか劇場で鑑賞する機会に恵まれるなんて。
冒頭のたたり神の動きからして、時代を感じさせない色彩、躍動感で、スタジオジブリのすごさを改めて実感しました。
未見だったので、周囲の感想からこれまでは自然賛歌と文明批判の物語なのかな、とずっとぼんやりした印象を持っていました。ところが実際の物語は自然対人間と言うよりも、「(獣の姿に仮託した)文明化していない人間」対「文明化した人間」の構図が強く打ち出されていて、「ガリア戦記」をガリア人の側から見たような作品だったんだな、という印象を持ちました。
本作で「自然」を体現する存在はシシガミなのですが、人間や動物といった定命の者の存在を、それほど意に介しているようには思えません。さらに生も死の両方を司っていることから、何らかの超越体(神)と言うよりも、自然の摂理そのものの具現化だと言えそうです。このように「自然」、「文明」、「非文明」の三層が本作の基本構造となっており、ここに「文明」にも「非文明」にも属することができないサンやアシタカが入り込んでいる形となっています。
物語の起点はアシタカの受難と旅立ちですが、彼やサンは、物語の大きなうねりとなる人間対獣の争いの中では驚く程無力で、特にサンは獣からも同族とは見なされず、孤高の存在でしかないことがむしろ心打ちました。結末が典型的な「往きて還りし物語」となっていない点も非常に興味深かったです。
コロナ禍での再上映にて
やはり映画は映画館で観たほうがいい
好きで何度も観てるハズなのに新しい発見がある
ヤマトとの戦に敗れて
昔の話で聞いたことがある出で立ち
アシタカの境遇等改めて説明がある
また、某社会現象アニメとの戦いも感じることが出来た
そして改めて好きになるのである
内容は、もはや語らなくても良い気がする
生きろ
もう大好きです。
初めて観たジブリ映画で自分にとって思い出の
多い作品。子供の頃は
「タタリ神コワっ!w」
「シシガミをやっつけろー!」
とそれはそれで楽しく観させて頂いてました☺️
けど、大人になって観た時の「あれ?こんな映画だったっけ?💦」という驚きと
作品への引き込まれ方が別次元で、いつまでも観れる
本当に素晴らしい作品だと再確認、、、
だけど言葉では上手くまとめれないし
人から「どんな映画?」と聞かれても上手く
答えれないんですよね笑
まぁ僕の表現力の問題ですけど😒😱
誰が好きで誰が嫌い?
悪役は?誰が正しいの?
エボシ様って悪い人?
自然を破壊して人間に罰が下ったの?
そんな自分が思っていた事を、観る度に
払拭され、それ以上に深い物を感じさせてくれる。
そんな映画です♪
本当にオススメです。
絶対に後悔しません。
※初めての方はあらすじを多少詳しく知って
からの方が観やすいと思います。
宮崎監督ブラボー
新緑が美しい季節、この映画のラスト、草木が芽吹くシーンを観たくなり、すごーく久しぶりに鑑賞。
初鑑賞から随分長い時間が経ち、自分もその分歳を重ね、改めて観ると「こんなもの凄い映画だったのか!」と、感動した。アシタカ様のセリフのひとつひとつにキュンキュンした。色々な映画を観てきているけど、私にとってジブリは別格だわ。
ゾンビものかと思った序盤
冒頭から凄い展開だった。宮崎アニメの中ではこんなにグロいシーンの連続だった作品はないでしょう。人を殺すシーンだってある。両腕が飛び、首もはねるという強力な弓矢を引くアシタカヒコ。前半は人の醜さ、残酷さを強調するような映像だった(ナウシカも人を殺したけど、映像としてはおとなしかった)。
最初に観たときから、現代社会の構図との比較を考えてみるもののどうもしっくりこなかったものだ。西の国とサン及び山犬の対立構図以外にも中立的な生き物がいたり、どこまで神の扱いなのかがさっぱりわからなかった獅子神とダイダラボッチ。森の賢者・猩猩の中立的な存在。森を守ろうとしているのに何故タタリ神となってしまうのか・・・
獅子神=王蟲と考えれば、かなり『風の谷のナウシカ』との構図が似てくるのですが、一度では全ての関係を把握しにくいです。映像的には猪・山犬=王蟲の構図でしたからね・・・
「死ぬのは牛飼いばかり」「さらなる恨みや呪いを買う」「生きろ」といい台詞はいっぱいあるけど、タタラ場を襲う侍など、ちょっとだけ物足りないところもあったけど、ラストのダイダラボッチの映像のおかげですっかり忘れてしまいました。
すごく、いい!
観たのは、ずっと前。
いいということを、今さら言う必要もないのだが、書いておく。
キネ旬 90年代日本映画 第7位
2020/7/6 追記:コロナ禍下の劇場応援のため?、ジブリ作品一斉上映の恩恵を目一杯いただいて、スクリーン鑑賞。
ジブリ作品では、「風の谷のナウシカ」と並ぶ、超一級エンタテインメント作品。
それは、死と再生の物語。自然と人の関わり合いを描いた、傑作だ。
蝦夷(えみし)の一族の若者アシタカは、祟り神となって村を破壊しそうになった猪(ナゴの神)を倒すのだが、その際に、腕に呪いを受ける。このままでは死を待つだけ。呪いを解くには、西の国へ行き、そこで起きていることをしっかり見ることだと教えられ、西へ向かう。そこでは、人が山を削り木を倒して、鉄を作っていた。自然は、人間たちを山から追い返そうとする。人間たちの中でも、たたら場(製鉄場)と都(みやこ)の争いが水面下で繰り広げられている。アシタカは、そんなたたら場に飛び込み、山への生贄とされ現在は獣たちと共に生きている少女サンと出会う、という話。
対立する筆頭である人と自然。単純に考えれば、開発を進める人間たちが自然を破壊する悪者だ、となりがち。しかし、鉄を作っているエボシ御前は、しいたげられし女たち、売られる女たち(つまり奴隷)を解放するために、鉄を作ることで、彼女たちが生きる自活の場を作っている。このように、俺たち観ている側に、どっちが悪者で、どっちが正義の者か、といった単純な考えを許さない。
「風の谷のナウシカ」でのナウシカの役回りを担うのは、本作ではアシタカだ。
アシタカはあくまでも自分が信じる道を探す。それは、全ての者が争わずにすむ世界。
アシタカは聞く。「モロ、森と人が争わずに済む道はないのか?」
モロ「お前はどう生きると言うのだ?我々と共に戦うのか?」
アシタカ「違う! それでは憎しみが増すだけだ」
ちなみに、たたら場で女たちが、3日3晩、たたらを踏み続ける姿は、本当に生き生きと描かれ、労苦を感じさせない、素晴らしい描写だ。本作は、争いの物語なのだが、彼女たちと、ともに生きる男衆のかけあいが、全編通じて小気味よく、争いの物語なのに暗くしない効果を担っている。
本作がテーマに掲げている「生きよ!」は、どちらかの立場での生きよではなく、それぞれの立場で、どう生きるかを一所懸命に考えろ、という意味になっている。ひいては映画を観ているあなたたちが今暮らしている場所で、立場で、どう生きるかを一所懸命に考えろ、というメッセージなのだと思う。
たたら場の人間たちと、狼のモロや猪の乙事主(おつことぬし)ら自然との争い、森の象徴であるシシ神の首を狙うジコ坊たち(生首で不老不死を得られるという眉唾な情報で)の暗躍、その中で出会うアシタカとサンの行動、それらがどんな結論になっていくかは、やはり観てみてください。日本のほとんどの人が、すでに観たのではないかとすら思う映画だが、やはり結末はお楽しみに、と書きたいし、観た人もあらためて、また観てほしい。
アシタカがめざす、森と人が争わずに済む道は、宮崎監督のライフワークなのだろう。
繰り返しますが、やはり傑作映画だった!!
2021/8/15 追記
地上波のデータ放送部分で表示されていた下記のインタビュー内容は、印象的だった。
「コントロールできなくなってしまった憎悪を
どうやったらコントロールできるか」
「サンの人間に対する憎しみは消えない。でもアシタカだけは受け入れた。それでもいいから一緒に生きていこうと、アシタカはサンに言うわけですけど、この後もサンはアシタカの胸を切り裂くんじゃないですかね(笑)。それでもいいから一緒に生きていこうと言ったアシタカは、大変な受難の道を自ら選び取って、最も困難なところに生きていこうと決めた少年なんです。つまり、タタラ場の人間たちも、サンも生かしたい。山も生かしたい。でも鉄も作らなければいけないというところで、まさに現代的な、現代人として生きなきゃいけないんです。大変ですよね(笑)」
「アシタカは、好きだ。しかし人間は嫌いだ」
「サンは森で、私はタタラ場で、生きよう。会いに行くよ、ヤクーに乗って」
うなずき、去っていくサン…
好きだけれど、お互いの世界は違う。
だから、好きだけれど、お互いそれぞれの世界で生きていく…
「アバター」のように、「好きだから、自分を変えて相手の世界で生きていく」という価値観もあるが、俺はもののけ姫のエンディングのような価値観が好き。
何度見ても色あせない
昔、私はもののけ姫がトラウマだった。
冒頭に出てくる山の化け物のシーンは気味が悪く目をつむっており、その後の話をまともに見れなかったのは良い思い出だ。
しかし社会人になって改めて見ると昔とは異なった感情が芽生えてくる。
何というかこう、一言では表せない感覚だ。
まぁ強いて言うならサンの声優の石田ゆり子は美人だよなぁ。
開始10分で心をわしずかみ
終わり方に拍子抜け( 。゚Д゚。)
もう時間ないからまとめました!的な感じに受け取れました。
駿さんがドキュメンタリーで作品が、「描いてて起承転転転...とかになる」とか苦笑していた。
けど、そんな感じした。
冒頭、林を抜けるアシタカの光と影のコントラストが美しい、それだけで観る価値あり。
開始10分で物語の世界観をぎゅっと示して心をわしずかみ。
駿さんはそこ、よくわかっている、そしてそれを表現しきっている。
ダークナイトの冒頭も同じだった。
共に天才が作る傑作。
何度も観たいという作品を作る稀有な存在。
です。
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