劇場公開日 1997年7月12日

「古代日本の迸る生命感」もののけ姫 かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0古代日本の迸る生命感

2022年6月13日
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日本の神話時代、火を扱い山を焼く大和朝廷の力が、出雲(イズモ)、蝦夷(エミシ)、熊襲(クマソ)といったまつろわぬ民を平定し、各地八百万の神々を殺してまわる、そんな背景の物語。

【ストーリー】
エミシの民である主人公アシタカの村にタタリ神が侵入した。
どうにかこれを鎮めるも、アシタカはその身に呪いを受けてしまう。
巫女が言うにはその呪いは肉体を真っ黒に喰い荒らし、やがて死に至る恐ろしいもの。
宣託をうけ、アシタカはタタリ神が生まれた原因を探るためにその足跡を追う。
たどり着いたのは、人と神とが争う戦乱の地。
犬神モロの君に育てられたサンと、タタラ場を操業するエボシ、互いを殺したいほど憎み合う二人の女の間に入り、アシタカは調停に乗りだした。
だがそれを好まぬ大和勢力が、エボシを裏から支配し、両者の争いに火を注ぐ。
この地には生死をつかさどる神秘的存在・シシガミがおり、夜にはディダラボッチという巨人になる。
その首を持ち帰れば不老不死となるとの言い伝えがあり、大和の手の者たちは、それを帝にへの手土産にしようと不遜な画策をしていた。
朝を待ち、巨人がシシガミに戻る瞬間、エボシの放つ石火矢がその首をもぎ取る。
暴れ、のたうつディダラボッチ。
その体から生と死が噴出し、大きな塊となって山々、そして谷川の全ての生命を飲み込まんとする。
大和朝廷の間者ジコ坊を説得し、シシガミの首を取り戻したアシタカとサンが朝日の中で選ぶ未来。
果たして人と神は共存できるのか。

原生林の山岳地帯に出雲のタタラ、エミシの民、シシガミ、デイダラボッチ、オッコトヌシ、モロの君、みなぎる生命のイメージを横溢させた世界に、人間たちの思惑と陰謀がうずまく、宮崎駿監督が渾身で創り上げた一大叙事詩。

先日、近所で開催された『山本二三展』にゆきました。
その大半が宮崎駿作品で、細田守『時をかける少女』や新海誠『すずめの戸締り』などのヒット作と並べても、存在感はこちらが圧倒的。
「ブック」とか「組背景」という、近景や遠景を別々に描く背景があるのですが、シシガミの森の4〜5段階にわたる組背景は感動の出来で、鳥肌ものでした。
後年は故郷である五島の風景画をたくさん描かれていて、そこらの画家では足元にもおよばない描画力には、ただ感嘆するしかなかったです。
去年の夏、2023年に残念ながら亡くなられてしまわれましたが、その仕事をふり返る意味においても、とてもよい機会になりました。

かせさん
マサシさんのコメント
2024年8月19日

『山本二三展』の情報ありがとうございます。知りませんでした。
因みに『帝国少年』をご覧になる事をお勧めします。フォローさせていただきます。

マサシ
マサシさんのコメント
2024年8月19日

共感、コメントありがとうございます。
大連の安いホテルのテレビが見れなかったので、ある方法で鑑賞しました。勿論、違法ではありません。誤解させてしまった事を謝罪致します。

マサシ
たなかなかなかさんのコメント
2024年7月25日

かせさんさん、コメントありがとうございます♪
宮崎アニメの青年キャラは竹を割ったような性格の人ばかりでスカッとしますよねー!!✨

たなかなかなか