劇場公開日 1997年7月12日

「宿命を背負って生きる」もののけ姫 はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0宿命を背負って生きる

2020年7月19日
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鑑賞方法:映画館

ジブリ企画3本目。公開当時早く観たくて初日に早起きして両親と観に行ったのは今でも良い思い出です。社会現象を巻き起こしたまさに傑作アニメ!

村を守るために荒ぶるタタリ神を殺し死の呪いを受けたアシタカ。自らの宿命に向き合い呪いの原点を探るため西の国を目指して静かに村を去る。
まるでその旅立ちを祝福するかのような圧倒的な大自然はまさにジブリ美術の真髄です!

宮崎監督が「これからの時代色んなものを背負って生きていかなくてはならないのが若者の宿命。だからこんな暗い主人公を作るしかなかった。何でもかんでも明るければいいというのは嘘だ」って仰ってて、アシタカは強くて正義感に溢れて人望もあってイケメンの素敵な青年、ってそんなことではないんだなと。
そんな単純ではない。きっと発狂した朝もあれば絶望した夜もあっただろうな。
それでも凛とした佇まいが本当に格好いい!

そして人間でありながら山犬の娘としてシシ神の森で生きるもののけ姫サン。血で顔を染める野性的な姿の反面その美しさに心奪われるアシタカ。人間対自然。2人の出会い。

人間と自然は共存できるのか。
できなければ滅びるのは人間の方。
どれだけ科学や力を手にいれても牙を剥く自然を前に人間はちっぽけです。それを人類は嫌と言うほど知っています。

そんな絶対的な自然に立ち向かっていくアシタカとサン。
「命を与えも奪いもするシシ神」
そして生かされた2人。生きることの虚しさや厳しさ、絶望や孤独、無力さを知った上で語りかける
「共に生きよう」のメッセージ。なんて晴れやかな表情。もう毎回号泣です。

「難しくて子供は理解できないという意見が多いが子供こそよく分かっている。むしろ大人がこの世界のことを説明できていない」
当時の監督の言葉です。
人間対自然は大人対子供でもある。
全ての大人が全ての子供にこの世界を説明できれば未来に希望はあるかもしれない。

はるたろう