「深い。」もののけ姫 34さんの映画レビュー(感想・評価)
深い。
まずはそのスピード感と内容の濃さに驚かされた。
2時間を超える作品とは思えない圧倒的なスピード感と濃さで常に先がどうなるのかということを考えながら見ることができた。
この作品を通して疑問に思ったことは題名である。全体を通してアシタカを中心に描かれているのに対し、題名はサンを指す「もののけ姫」となっている。これはサンが自分たちを映していて、アシタカが自分たちを正しい方向へと導いてくれる存在を示しているのではないかと私は思う。
サンは自分を山犬だと叫んでいた。だが、実際彼女は人間であり、獣ではない。ここで考えさせられるのは人間とその他の生き物との違いについてである。この作品のなかでも人間と自然が戦うシーンがあるが、決定的な差異が人間とその他の生き物、自然との間にあるのだと思う。その違いに気づかせてくれ、サンを導いたのがアシタカという存在だろう。
また、この作品を通して出てくる「神」という存在は一体何を表しているのだろうか。私はこの作品の中における本当の神は獅子神だけだと考える。祟り神は正確には神ではなく、堕ちてしまった生き物、憎しみや怒りといった罪の感情にさいなまれてしまった生き物を象徴しているのではないだろうか。この作品の中において人間以外の生き物も言葉をもって話すことから擬人化されていることは想像がつくが、その擬人化された生き物が堕落した姿が祟り神という存在なのではないだろうか。そこで救いを求める対称として獅子神様がいて、その獅子神様をものともしない人間が裁きを受けてしまったというふうにも受け取れる、そんな作品だったと思う。
長い間見よう見ようと思ってずっと見ていなかった作品だったが見て正解だったと思う。
ただ、その内容の深さからまだこの作品が何をいいたいのか、また、どんな背景のもとに作られた作品でこの作品を何のためにつくったのかというのがまだ見えてこない部分も多い。そのため、これからもこの作品についてかみ砕いていき、理解を深めたいと思う。