「肩の力を抜いて観ることができる、まんが映画の秀作。」名探偵ホームズ1 青い紅玉(ルビー)の巻 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5肩の力を抜いて観ることができる、まんが映画の秀作。

2019年10月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

単純

『風の谷のナウシカ 』と同時上映された、30分程度の短編作品。本作公開後にテレビアニメとしてシリーズ化するが、テレビアニメ版とは一部のキャラクターの声優や名前が異なる。

世界に一つしかない青いルビーを手に入れようとするモロアッチ教授から、スリの少女ポリィを守る私立探偵ホームズの活躍を描くファンタジー・アクションアニメ。

監督は『パンダコパンダ』シリーズ(脚本)や『ルパン三世 カリオストロの城』の、後に日本を代表するアニメーション監督となる宮崎駿。

若き日の宮崎駿が肩の力を抜いて作ったのであろう、のびのびとした作風の楽しいまんが映画。
当時、宮崎駿が描きたかったものが詰め込まれているんだろう。19世紀イギリスの街並み、チョコチョコと走るクラシックカー、ボーイッシュな女の子、悪党とのカーチェイス、清楚な麗人etc…。

「シャーロック・ホームズ」のアニメの筈ですが、全く推理要素は無し。ドタバタアクションの連続です。
当時はまだコナン・ドイルの著作権が生きていたため、権利の問題で揉めたらしくコナン・ドイルの名はクレジットされていない。その為、キャラクターの名前やストーリーがオリジナルのものになっているんだろう。

主人公のホームズはクールで知的、紳士的な態度で女性に接するジェントルマン。イケメン(犬だけど…)で身体能力抜群、行動力と度胸のある完璧なキャラクター。一方で、宮崎駿のキャラクターらしい愛らしさやユーモアに溢れており、非常に親しみを持てるキャラクターとなっています。勿論喫煙者。
悪役のモロアッチ教授、相棒のワトソン、大家さんのハドソン夫人、スリの少女ポリィ、など、どのキャラクターも活き活きと存在しており、とても30分作品とは思えません。

ストーリーも単純明快で、頭を空っぽにして楽しめます。子供のために面白いアニメーションを作ろうとする製作者の心意気が伝わります。

非常に明るく、優しい活力に溢れたアニメーションで、観ていて元気が湧いてきます。宮崎駿ファンであれば一見の価値有りです!

たなかなかなか