劇場公開日 2017年3月25日

「アナの瞳」ミツバチのささやき komasaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5アナの瞳

2024年2月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

映画フランケンシュタインを観た後にアナは「何故殺されたのか?」と尋ねる。それ以降、この作品は死の気配とともに進行していく。

荒涼とした風景、色彩のない街並み、団欒のない家庭。明らかに歯車が噛み合っていないが、それが何なのか明確には分からない。

そんな生気のない世界の中で、主人公のアナの瞳だけはキラキラとしている。サンタクロースを信じるような無垢な心で世界を見ている。

そんな彼女がある事件をきっかけに失踪し、捜索する父親たちに見つけられる。この失踪は、蜜蜂でいえばサナギの状態に当たるのだろう。事件の前と後で決定的にアナの内面は変わっている。

フランケンシュタインという触媒による幼虫から蛹、成虫へという変化はアナだけでなく、家族、そして恐らくスペインという国の変化(将来への希望的なものも含め)も表している様に思える。

スペインの独裁政権下という制約のある中で作られた映画。隠された作者の思いを漠然と感じられるも、掴み切れずもやっとするものが残る。

時代背景を調べて、また観に行こう。


(20240215ht渋谷にて二度目)

komasa
とみいじょんさんのコメント
2024年4月6日

共感とコメントをありがとうございました。

komasaさんのレビューにある「そんな生気のない世界の中で、主人公のアナの瞳だけはキラキラとしている。サンタクロースを信じるような無垢な心で世界を見ている。」

 本当に。だからこそ、私たちはアナに惹かれてやまないのでしょうね。

気づかせていただきありがとうございます。

とみいじょん