「アナがストライクすぎる」ミツバチのささやき osincoさんの映画レビュー(感想・評価)
アナがストライクすぎる
最初に観たのは15年以上前。
アートの趣味が合う友人に、「主人公の女の子がむちゃくちゃかわいくて好きだと思う」と、オススメされました。
友人の言う通り、アナがむちゃくちゃかわいいけど、なんて暗いお話…という印象でした。
今回は、すっかりお気に入りの目黒シネマで、劇場上映3日間(短い!)とのことで、スケジュールにねじ込んで観てきました。
ほんとに子供たちが描いたであろうマジックのイラストと共にオープニングが進んでいきます。このイラストから既に、かわいいのに暗いです。
最後までずっと、明度も彩度も低いです。
アナの真っ直ぐすぎる瞳。
今回の二本立てのテーマが"幼いまなざし"それまさに。
時折笑顔を見せるも、真っ黒で大きな瞳で、ただただ真顔で見つめるのですよね。
よーーく物事を見る子で、疑問を問う。そういう年頃ってのもあるのでしょうが、真実を見ようとするキャラクターも好みです。
佇まいも表情もなんて刹那的。当時7歳!(もっと幼く見える)
イサベルの知ったかぶりもいい比較。なんでなんで攻撃されるお姉ちゃんも大変よね。
アナもイサベルも本名だそうです。かわいい。
スペインという土地や、1940年代という時代が、この"哀愁"を感じさせるのでしょうか。
テレサが自転車で走る道は果てしなく見え、広大な荒れた平野の中に幼い2人がポツリ。
拓けた何もない風景の中に、現代都市を脳内で比較してしまいます。
そんな、子供たちの足では遠いやろーー、というところを駆けていくシーンも好き。
ずっと"かわいいなぁ"と語彙力崩壊状態で見ていました。ずっと変な顔してたと思います。
アナとイサベルはもちろん、犬もネコもかわいいです。父親が人嫌いながら、犬の異常なまでの懐き方で、根の人の良さが伺えます。
●かわいいの例
・『フランケンシュタイン』の映画を観ている姿。
・↑観た後、家にキャーキャー飛び込む2人。
・布団でのささやきトーク。
・ネグリジェ姿
・↑で、はしゃぐ2人。
・学校のお揃いの制服とシャツコート。
・アナのポンチョコート。
・父に見つかって無言で逃げるアナ
・・・
そして、
「デン」 リンゴ
もうね、声から何から何までドストライクすぎて、吹き出してしまいました。ここ、大好きで、よく真似してたの思い出しました。
この最高のシーンを忘れていた自分よ。
あー、観にきてよかった。
●その他の感想
象徴的に登場する、ハチの巣模様の窓。どこか牢獄とも重なります。朽ちたアンティークなベッドやピアノも建物も暗い。ドクロの絵といい、"死"の香りがそこかしこに。
母の手紙は訳アリな様子。自分の年齢的に、父母の方に思い入れが出てきてもいいのに、がっつりアナにときめいてばかりで、15年前と成長してません。
フランケンと見合ってるアナは息が白くてほんとに顎がガクガク震えているように見えました。大丈夫ーー?
毒キノコの見分け方をお父さんから学ぶのも印象的。毒キノコ、いい匂いなんですね。全然見分けられる気がしません。
イサベルが猫に執拗に首絞め?子供ってああいうことするよなーって思うけど、それを撮った監督の感覚すごい。
指から血が出ても、派手に騒がないのとか、唇に塗るのもリアル。イサベルが肝座ってるのかもしれませんが、子供ってそゆとこあるある。