「もう一度見たい!」ミツバチのささやき kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
もう一度見たい!
6歳になる内気なアナ(トレント)は高齢な父フェルナンド(ゴメス)、母テレサ(テレサ・ジンベラ)、姉イサベル(テリュリア)と共に暮らしている。父親は養蜂家でミツバチを研究して書に記しているが・・・
『フランケンシュタイン』(1931)の映画が強烈だったらしく、アナはイサベルに尋ねる。「なぜ怪物は少女を殺したの?なぜ怪物も殺されたの?」と。イサベルはかなり適当に答え、村外れにある無人の小屋で夜になると怪物が現れるのだと教える。さらに怪物は精霊なのだと教え込まれ、親に聞くと、いい人間にはいい精霊が、悪い人間には悪い精霊が・・・などと教えられる。そして、怪物に会うため(?)アナとイサベルは廃墟となった家畜小屋を探検するのだ。
ある日、列車から一人の男が飛び降り、逃げるように家畜小屋に身を隠す。翌日には何度も一人で来るようになっていたアナが彼を見つけ、恐れもせずリンゴを差し出したり、父親のコートをこっそり持っていたりした。しかし、その夜銃声がなり、逃亡者は射殺された。残されていたコートと懐中時計はフェルナンドのもの。警官は彼を呼び、その事実を告げる。家族での食卓、懐中時計のオルゴールがなると、バツの悪そうな顔をするアナ。そしてアナは家を抜け出し捜索隊が出る・・・。無事に見つかったアナ。身体は衰弱していたし、食事もとらないし口もきかないようになってしまった。やさしく見守る両親。ラストシーンではアナが精霊に呼びかける。「わたしよ、アナよ」と。
“死”まつわる純粋な少女の想い。村人たちはクリスチャンであると思われ、死についてもちゃんとした宗教観があるようだし、まだ幼いアナには宗教色もない純粋さで死を考えているようだ。学校での授業、父から受けた毒キノコの説明、死んだフリをするイサベル、そして線路脇での列車を眺める態度など、精霊は信じても、死の存在を受け入れない様子。ましてや逃亡者を全く恐れないのも生命の尊厳を子どもなりに解釈していたと思われる。
牧歌的で絵画的な映像と、台詞も少ないのに感情表現が非常に豊か。さらに、カット割やモンタージュなども絶妙であり、無駄のない構成。ミツバチの生態なども人間社会に置き換えて考えられるし、その研究家である父が人間嫌いであることも象徴的。そして冒頭では母親はスペイン内戦のために生き別れた家族(もしくはかつての恋人か?)に手紙を送っている。届いた手紙を燃やしていたところを見ると、戦死したとの連絡が来ていたのだろうか、今の家族と生き長らえることを幸福の糧とするしかない現実。
こんなに素晴らしい完成度の高い映画を今まで見ていなかったことが悔やまれる・・・
共感ありがとうございます。
大分前からもてはやされていた作品で、深夜のTV映画劇場を録画した事も有ったんですが・・劇場で観直すと当時とは違う感覚が有りますね。
はなもさん、コメントありがとうございます。
ストーリーよりも映像が美しかったことのほうが印象的でした。
今年になってリバイバル上映されたというのに、見逃してしまい、とても後悔しております。
たまーに、CSで放送されたりするので、次回はチェックするぞ~と心に誓いました!
ざっとレビュー拝見、まだ半分いってません😅たくさんアップされてますねー。
が、この映画、だいぶ前にみたので、おぼろげなんですが、カット割が印象的で、なんか不思議な感じしたのを思い出しました。
自分の好きな映画を評価してもらうと、うれしくなります。
アナの曇りない目がほんといいわぁ。
アナは「ブーリン家の姉妹」で、キャサリン王妃でちょこっと出てます。