「ミツバチのつぶやき」ミツバチのささやき ぷにゃぷにゃさんの映画レビュー(感想・評価)
ミツバチのつぶやき
午前十時の映画祭で、ウン年ぶりにスクリーンで鑑賞。
やっぱり好きだぁ、この作品。
今回は冷えた関係の家族が、再生するお話とも思えた。
また何年か周期で観直したい。
2023.9.10追記
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初めて見たのは20歳前後、それまでの人生で出会ったことのないタイプの映画だった。説明的なセリフもほとんどなく、あっけなく場面が変わり、わかりやすい盛り上がりもない。正直「よくわからない」映画だった。ただ、わからないけど妙に惹きつけられ、様々なシーンが脳裏に焼き付き、印象は強烈に残った。光と影、寂しい風景、沈んだ色彩などが絵画のようで、物語というよりも画集みたい。しばらくの間、幾度も記憶を反芻していた。
今、久方ぶりに見直し、初見よりも気付く点は多い。スペイン内戦の影響など、当時は知らなかったことも今はわかる。フランコ独裁下で作られたことも。アナの母テレサは誰に手紙を書いていたのか。村はずれの井戸の小屋にいた若者は、どこから逃げてきたのか。暗喩や象徴だらけである。
そして何よりも主人公アナの目があまりにも清らかで、強い。イサベルなんかいくつか違うだけなのに、言うこともやることもすでに女だ〜と思うけど、アナは本当にこども。ほんの数年で過ぎ去ってしまう、まさに限定された時期なのだ。役の名前と実名が同じなのは、撮影時アナが5歳と幼く、混乱させないためだという。
私にとってはこの映画は記念碑的な作品で、今も心の中の一番いい位置にいる。結局、この作品に出会って以降、映画のマイスタンダードになってしまった。
ぷにゃぷにゃさん
新作でもアナが!
名前が同じだけ!
監督の心が、アナに囚われているという事なのでしょうかね。
ご心配有難うございます (^^)
前のレビューを訪れる時、「 ちょっとお邪魔しますね。」という心待ちになります(笑)
すみません。この続きはとみいじょんさんのレビューの方へコメントさせて頂きます。ぷにゃぷにゃさんのレビューにも共感でした。
裏の事情を知らなくても、子ども時代の煌めきと陰りの記憶を見事にスクリーンに納められた作品だなぁと思いました。見るたびに新しい発見がある気がします。^ ^
町山さんの解説ですが、死体ごっこについて解説はありませんでした。
フランコが死亡した後に監督やスタッフが作品の意図を解説しているそうで、町山さんはそれを元に解説しますと言われてました。
姉の死の可能性についても言及はありませんでしたが、個人的にはとみいさんの見立ては一理あるし、納得できました。^ ^
監督は、スペインの内情の糾弾と希望を4人の家族で表現したらしいです。
コメントありがとうございます。
映画館で鑑賞されたのですね。うらやましいです。
町山さんの解説は残念でした。
町山さんが配信されている映画塾の目録の中にはこの映画はなかったので、もし聞けたら貴重な体験でしたね。
ただ、町山さんの解説を聞かれた方も、私の仮説に驚いてコメントをいただいたので、ベッドに関するコメントはなかったのではないかと思います。
私が鑑賞したDVDについていた解説では「死体ごっこ」とされていました。他にもネットで検索できる解説やレビューを見ても、大方「死体ごっこ」とされています。でも、ベッドについて言及している人はいないのです。書いた方の名をチェックし忘れたので、町山さんがどうかは判りませんが。
アナの治療の為に、他で寝ているということも考えられますが、しっくりこない。他にもあれ?と思うところが多くて…。
ラスト、アナが、イザベルに教えてもらった呪文で、誰に呼びかけているのかがとっても気になるのです。
フランケンシュタインにあった時は、あんなに震えていたけれど、もう一度会いたいのかしら?
リンゴを差し出した兵士?
それともイザベル?
死者ではなく、純粋に精霊を呼び出している可能性もありますが。
大方の解説は「soy Ana(私はアナよ)」を「自我の目覚め」としていますが、私はアナの年齢では早すぎると思っています。この言葉は、こちら側ではないあちら側にコンタクトしていると思っているので、気になっています。
監督のコメントを聞きたいです。
共感とコメントをありがとうございました。
トンデモ仮説ですね。他のレビュアーにも驚かれました。
「『となりのトトロ』の都市伝説:トトロは死神で、さつきとメイは実は死んでいる。だって影がない」みたいな言いがかり的な仮説でしょうか。こちらの都市伝説は、ジブリが「制作上の理由で、影を省略しただけだ」としっかり否定していますが。
でも、私のレビュー本文でも書いたように、ラストのシーンで、イサベルのベッドが片付けられている理由がわからないのです。
アナの看病のため、マットレスと掛布団だけ持って、客間で寝ているのでしょうか?ベッドごと動かすのではなく。
とはいえ、死亡説をとると、朝食シーンで、イサベルがカップを抱えていることの説明がつかなくなるのですが。
映画の原題『ミツバチの巣箱の精霊』というのにも、引っ張られている仮説ですが。
本当に、いろいろ考察したくなる魅力がある映画ですね。
芸術映画は苦手な分野であるのに、かなり引き込まれた映画でもありました。
今夜はwowowプラスで『バグダッドカフェ』と『ノスタルジア』が放送されるので、観てみようかと思っています!