ミシシッピー・バーニングのレビュー・感想・評価
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見て見ぬふりをすることでどのみち有罪
ウィレムデフォー演じる若いFBI
揺るぎない信念で、ミシシッピーの根深い差別に端を発する殺人事件を解決していく。
彼の揺るぎなさ、カッコいい。こんな人が目の前にいたらついて行くと思う。ジーンハックマンの経験嗅覚正義感も熱い。フランシスマグドーマンもとても良い。
60年代。有色人種は、バスもレストランもトイレも別、こんなベタな差別が当たり前であっだことにいまだに驚くが、選挙権があってもトイレは一つになっても、大局的にいまだに大して変わらない状況もある。
映画としてのドキドキ感も半端なく素晴らしい作品。見たつもりでいたが、見ていなかった、、これを見ないで今まで生きてきたことを恥じる気持ち。
見て見ぬふりをしていることも加担していることになり迫害や虐殺や暴力を働く者たちと同じ有害なのだと。
そして、白人至上主義者が有色人種に向ける憎しみをみて、白人至上主義者に強い憎しみを感じる、この憎しみの連鎖をどうすることもできないという意味で絶望を感じる。
自分が小学生の頃アメリカ南部ではこんなことが起こっていたとは
舞台は1964年のアメリカ南部。1964年といえば東京オリンピックが開催された年。陸上ではアメリカの黒人選手が大活躍したのを覚えている。そんな頃、アメリカ南部ではまだまだ黒人への人種差別が凄まじかったというストーリーに衝撃を受けた。
ジーン・ハックマンの男っぷりが最高
黒人差別問題に正面から向き合いながら、暴力映画、刑事もの、サスペンスなどエンターテイメント要素盛りだくさんで見ごたえたっぷりだった。
主人公のFBIのジーン・ハックマンの男も濡れる男っぷりのよさ、ハゲ散らかして太った中年のおじさんなのに、理由が分からないのに、かっこいい。
ミステリー要素としては元々ネタバレしている、『刑事コロンボ』方式で、親しくなった人妻が口を割ってくれる、脅して口を割らせるなど、それほど謎解きの面白さはなかったけど、味付けとしては充分緊張感があってよかった。
白人どもが本当に憎々しくてよかった。捜査によって皮肉にも街中がめちゃくちゃになるのが切なかった。
あんなような黒人差別の街で暮らしていた空手好きの若者が『燃えよ!ドラゴン』のハンの大会に出場して、濡れ衣で殺されてしまうんだな~と関係ない映画を結び付けてしまうほど感慨ぶかかった。
高校生の時に映画館で見るのを迷って見なくて、初めて見たら大傑作だった。
「私にはもう与える愛は無い。あるのは怒りだけだ。」
元群保安官で叩き上げのベテラン、アンダーソンと、ハーバード大出のキャリア組エリート、ウォードが、捜査方法で対立しながらも3人の公民権運動家失踪の真相に迫っていく。
冒頭の、水飲み機が白人用・有色人種用と別れているシーンから、少しでも捜査に協力した者は、KKK(白人至上主義団体)によるリンチ、焼き討ちにあうなど、黒人を人と思わない白人たちに終盤までムカムカさせられる。
ウォードの、法を尊守する捜査に限界がきて、ブチキレたアンダーソンの違法捜査で犯人たちを追い詰めるクライマックスは痛快!の一言。
だが、痛快だけでは無い重いテーマ、アメリカのタブーである人種差別に鋭く突っ込んだアラン・パーカー監督の力作です。
実際にはFBIは活躍していないどころか、捜索に非協力的だったらしいし、違法捜査で罠にはめる際に出てきた黒人捜査官も、1964年時にはいなかったそうだが、人種差別は決して許さない!というテーマをしっかりと伝えている以上、本作の価値が下がるとは思えない。
アメリカでは、アフリカ系アメリカ人初のオバマ大統領が誕生したが、選挙戦時、南部の州のほとんどは、対立候補のマケイン(アイルランド系白人)が勝利していた。という事実から、決して過去の話しでは無く、現在も差別の根は残っていると認識した上で観てほしい作品です。
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