劇場公開日 1989年3月11日

「所詮人間って・・・」ミシシッピー・バーニング おまつさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0所詮人間って・・・

2023年6月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 数十年ぶりに観て改めて深ーく考えさせられてしまいました。

 この映画に登場する地元警察や住民に生々しく描かれている人間の醜さ、残虐さ、弱さ、エゴを見るにつれて、怒りがこみあげてくると同時に自分が同じ人間であることがなんだか辛く、虚しく感じられてきてしまいました。
 今から60年ほど前にアメリカ南部で起こった事件がテーマですが、その当時はアメリカではある意味必然的に起こっていたであろうこのような悲惨な出来事も、人種差別は社会悪の代表格として撲滅が叫ばれ続け、状況は大きく改善されているはずなのです。が、今日でも一連のBLM問題にみられるような黒人への差別、虐待のニュースが後をたってません。実態は何ら変わっていないんですね。これだけ文明が発達し善と悪の区別くらい誰にだってつきそうなものなのにいまだに世界各地では時代錯誤な残虐で不毛な戦争が進行し人々の命が奪われ、身近な学校や職場や家庭で壮絶なイジメや虐待が行われそれを苦に命を落とす人が後を絶たない。
 所詮人間って他人を傷つけあわないと生きていけない生き物なんでしょうか。私は性善説を信じて生きてきたつもりなんですが、なんだかその信念が揺らいでしまいそうです。アラン・パーカー監督の卓越した演出力の効果もあるものの、この映画が実話をベースにしていることを考えると現状が重く私にのしかかってきてしまいます。
 この映画のキャストや見せ場についていろいろ語ろうと思っていましたが、前編でしんどくなってしまいましたので、このへんにしておこうと思います。うざいレビューになりすんません・・・

おまつ