「奥能登のロケーションが素晴らしい」幻の光 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)
奥能登のロケーションが素晴らしい
是枝裕和監督の劇映画デビュー作を初見。愛する人を故なく失った女性が、境遇の変化とともに、少しずつ自らを受け入れていく。
尼崎の下町情緒から一転して、奥能登のロケーションが素晴らしい。日本海の荒波はもちろん、旧家の家屋、単線の汽車、田んぼのあぜ道など、四季それぞれの美しさが写し取られている。輪島の朝市の賑わいを見ると、この作品のテーマと相まって、感慨深い。
陰影が濃く、ロングショットでの緩やかなパンが印象的な画面づくりは、当時海外で評価されたことがわかる。葬送の場面など、ほとんど東欧映画の雰囲気。
江角マキコの出世作であることは知っていたが、浅野忠信、内藤剛志、柄本明もいい味を出していた。子役の使い方もうまい。
ただ、気になったのは、内藤剛志の前妻のこと。原作でも触れられていないのだろうか。想像するに、前妻も自死だったとすると、それはそれで更に深いものがあるが。
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