「グリーフワーク」幻の光 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
グリーフワーク
こんな語彙があるとは大学受験の英単語の記憶をサボっていたツケが回ったし、結局バカ田大学しか入学できなかった自分の愚かしさを憂うばかりである
日本語には、"悲しみ"の度合いを表現するのに、通常はそのまま度合いをくっつける それ以外だと別のキーワードを探すことになる 英語もそうであり、だからこそ受験時の問われるキーワードが設問として効果的なのだろう・・・ということをもう何十年も経って気付く自分は、本当に愚かで、大学なんて行かなければ良かったと後悔しかない バカは大学には行ってはいけないのだ!
と、ひとくさりバカが、元に戻せない敗北の人生を今になって悔恨する時間を過ごしてのレビューである
是枝監督の劇場映画デビュー作ということで、偶々掛っていた映画館にて鑑賞
表題の通り、『大切な人と死別したとき、遺族は大きな悲しみを感じ、長期にわたって、ショック期、喪失期、閉じこもり期、再生期といった身体的・精神的な変化をたどる』とネットでは説明しているとおりの作劇である
原作は未読だが、作者の宮本輝の別作品といえば、有名な作品が2つ思い浮かぶ 『優駿』『青が散る』である 優駿はJRAが御輿を担ぎ上げたキャンペーンだったが、青が散るのほうが、自分としては思い出深い ドラマのTBSで放映していた作品だ しかしリアルタイムではなく再放送で視聴していた口である テーマ曲の"松田聖子「蒼いフォトグラフ」"は隠れた名曲だ 兎に角"死"が付きまとう、情緒を掻き毟られる作品である
そして、今作も又同じように最愛を亡くした女性が、その死に惹き込まれる様に、自ら淵を彷徨う喪失感を表現した作品である
近しい人間が、精一杯天寿を全うする事には納得感を得られる しかし説明がつかぬ突然の別離に対しては耐性が準備されていない それが、代え難い人で有ればある程である
幼少期に祖母を行方不明にさせた罪、そしてなんの訪れも感じぬ儘死に別れる夫 自死の罪深さはここに起因するのであろう 勿論、"最愛"という前提なので、そこまで思いがなければ直ぐに時間と環境が解決する話だ 自分の躯の一部とさえ感じている配偶者ならば、その喪失感は中々埋まらない 例え、残った子供の為に再婚をした男との情事のさえでもその喪失感は襲ってくる 人は愛する具現をセックスに帰着する と同時に喪失感を埋めるためにも同様の行為を行なう 今作がデビューの江角マキコの裸体が陰であまりみえなかったのが、それだけが今作の減点である
脱ぐことに躊躇した本人、及び事務所に苦言を呈したい 中途半端ならば俳優業をするなと・・・
時間と環境、そして雄大な自然がその蟠りを解してくれる そんな解決策の一つを提示してくれた作品、大変素晴らしかった