「幸薄い系北欧版ボーイミーツガール」マイライフ・アズ・ア・ドッグ SpicaMさんの映画レビュー(感想・評価)
幸薄い系北欧版ボーイミーツガール
クリックして本文を読む
父親は不在。母親は病気で臥せっている。そのつもりはないのに、何かと母を困らせるようなことをしてしまう。面白い話をしようとしても笑顔になるどころか疲れさせてしまう。兄や友人達にはいじられる。そんな辛いときは、片道切符で宇宙に打ち上げられたライカ犬のことを思い浮かべる。あの可哀想な犬に比べれば自分の方がまだマシだと心を慰めているのだ。
その夏は母親を休めるために、叔父夫婦のもとで過ごした。愛犬も一緒にと懇願したが、願いは叶えられなかった。でも叔父の住む村の人達は温かくて(ムーミン谷みたい)、仲間もでき、想像以上に一夏を楽しく過ごせた。
でも秋になり家に戻ると母は亡くなってしまい、再び村に戻ることになる。そして叔父夫婦の家は状況が変わっており、前のように叔父夫婦の家族同然に暮らすことはできなくなり、再び孤独を感じる。せめて愛犬がいればと願うが、既に死んでしまっていた。自分はライカ犬を宇宙に送った人とは違う、と罪悪感を感じる少年。そして何よりも、母がいなくなってしまったことが悲しくて、初めて声を上げて泣く。(ここでもらい泣き。)
でも、つらいことだけではなかった。サッカーとボクシングで仲良くなった女の子サガがいた。
全体として、少年にとっての辛い出来事と楽しい出来事が、少年自身の目線でニュートラルに描かれているのが良いと思った。何より主演の子役くんが登場する犬を上回る可愛さで、サガ役の子も魅力的で、二人の演技がとても良かった。
そして、サガの微笑みと、温かい照明色を背景にした少年の笑顔が交互に映された、ラスト近くのシーンが希望の灯のようで、印象に残った。
コメントする