「To Walk out the Door」マイ・ビューティフル・ランドレット Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
To Walk out the Door
変わらず、なにも決めないで適当に借りてきたビデオを観るチャンスがあった。感銘を受けた。
なぜかというとロンドンに住むパキスタンからの移民の家族、コミュニティーの人々の姿がみえ、それに、移民と資本主義の台頭とにより南ロンドンの右翼の青年たちが、社会から置いてきぼりにされていくのがよくわかるからだ。ロミオとジュリエットのようにこの対立している南ロンドンのコミュニティーの中で、イギリス人でパンクのジョニー(ダニエル・デイ・ルイス)とパキスタンの移民の息子オマール(ゴードン ウォネック)がお互いに愛を確認しあっていくのが美しい。最後のシーンで、自分たちの経営するコインランドレットでオマールがジョニーの傷を拭う。お互いに水をかけあって無邪気に遊んでいる二人が美しく感じられセクシーだった。それほと、この二人の愛を育てていくシーンが自然に感じられ、周りの環境に溶け合っている。
どこでもと言っていいほど、最近は移民の課題が多い。日本は移民政策を取っていないが、日本に住んでいる外国人を考えてみると、同じではないが少し理解がにているかもしれない。 オマールの父親と叔父の対比は移民の両極端の姿をよく表している。社会主義のジャーナリストでインテリな父親はロンドンに旋風する資本主義の社会に自分をアジャストすることができなく、アル中のような状態だが、息子のオマールには大学に行き勉強することをいつもを勧めている。オマールの叔父はこの世の中を上手に生きて、パキスタンのコミュニーティーやアングロの社会でも信用を得て実力をつけていく。この二人の移民の生き方は現実にもよく存在し得る。それに、私個人は上手に波に乗っていける人ではないので、不器用で自分の考えや主義主張が曲げられない父親の気持ちが痛いほどわかる。父親は新しい土地ロンドンで小さくてもいいから自分の居場所を見つけられるといいんだが。
移民の一番の関心は子供達の『教育』だ。1980年代の映画でも今の映画でも、移民はその移住した土地で、教養を身につけて、仕事をとって生活をしていかなければならない。それに、差別と戦っていかなければならない。子供には、自分の味わった苦労をさせないようにとまず、勉強をさせる。
作品の脚本家ハニフ・クレイシ (Hanif Kureishi)はとても有名で彼の作品は日本語にも翻訳されているが、私は全く知らなかった