ボディ・スナッチャー/恐怖の街のレビュー・感想・評価
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それは心の問題ではない
妄想などではなく、“本当に”侵略されているんだ、というラストが面白かった。見終わってしばらく、現実感覚がふわふわする。/ちょっとだけ違う、という説明不能な怖さ。AIだ何だと言っている現代にリアルな恐怖である。
身近な侵略
病院に搬送された男が語る恐怖の出来事…。
カリフォルニアの小さな町で開業医を営むマイルズは、奇妙な噂を聞く。一部の住民が、肉親や知人が“偽物”であると…。
最初は信じていなかったマイルズだが、やがて戦慄の真実を目の当たりにする。
町や住民は侵略されていた…!
侵略SFの古典で、後に3度も映画化されるオリジナル。1956年の作品。
どうしてこうも何度も何度も映画化される…?
やはりそれは設定の秀逸さにある。
当時の侵略SFと言ったら、異星人がUFOで攻めてくるワンパターン。
そんな中で、異星人が人知れず住民の身体を乗っ取り、いつの間にか周りはもう…。
本当に異星人が侵略して来たら、こうなのかもしれない。
この“身近な侵略”は、後世の他の侵略SFや日本作品でも『ウルトラセブン』や黒沢清監督『散歩する侵略者』の原点として多大な影響を与えている。
50年代SFあるあるの退屈な恋愛要素混じりの人間ドラマやチープさも感じられる。
特撮を駆使した派手な見せ場も特に無い。
が、じわじわ煽る恐怖演出はなかなか。B級チックな特撮SFとは一味違う。
今改めて思うと、監督がアクション派のドン・シーゲルというのも意外だが、さすがの職人手腕を発揮。
謎、不審、“偽物”の身体と遭遇、不気味なサヤ…。
侵略者からの追撃。
マイルズは恋人と町を脱出しようとするが、まさかの展開に…!
「次は君だ!」「次は君だ!」
本来は理性を失ったマイルズが警告するシーンで終わる予定だったが、暗すぎるとの理由で今の形に。
当初のラストも今のラストもインパクトは充分。
身近な侵略はもう始まっている…かもしれない。
豆が幸せそう
総合55点 ( ストーリー:55点|キャスト:65点|演出:60点|ビジュアル:55点|音楽:60点 )
内容としては二級品。ドン・シーゲル監督だから多少の荒っぽい迫力の場面が出てくるのかというとそうでもない。古い映画なりの古い演出で、現在起きていることへの恐怖とか混乱がいま一つ伝わってこない。それと人が豆の鞘と入れ替わるのにそれまでの人間の体がどう変わるのかとか、どうやって人を複製するのかといった部分の描写が緩い。そもそも人間を複製してどうしたいのだろうか、感情も無く平和に暮らしたいのならばどうして人と争ってまで消すのだろうかといった疑問が色々と湧いてきた。
でももし全ての人が豆に取って代わられたのならば、人は無駄な争いもなく効率的に生きられるのかもと思ったら、豆になったほうが幸せなんじゃないかとも思った。
1956年の映画だなんて…
「戦争と平和」「王様と私」「ジャイアンツ」「知りすぎていた男」「十戒」「禁断の惑星」と、60年経っても色褪せない堂々たる作品がすべてこの映画と同年の公開だとは驚きです。
深く深く愛したものが、ほんの一瞬で心がなくなったら
そんな事なんで考えたくない
そんな時にとても彼のように気丈に振る舞ったり出来ない
もう、その時点で走るのをやめるだろう
意味でいくつもの心を題材にした映画はありましたが、これほどシンプルに分かりやすく恐怖するものは多くないように思います。
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