「露悪的ブラックユーモア映画」ホームドラマ msangさんの映画レビュー(感想・評価)
露悪的ブラックユーモア映画
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久しぶりに見直したが、やはりオゾンは初期から面白い。露悪的で挑発的。ブルジョワ家庭の表面上の平和とそれを取り繕うブルジョワ的偽善道徳への憎悪と悪意がにじみ出るブラックユーモア映画。同性愛をカミングアウトする少年は監督自身の分身と思えば、理解を示す振りをするだけで上辺だけの言葉しか言えない父親への軽蔑は明らか。謎のネズミは何故か触れた人間たちの隠れた欲望をさらけだすよう仕向けてしまう。根源的衝動としてほぼ全員が性的欲望をさらけ出してしまうが、死の衝動を抱えた長女や父親も含めて、少し露骨にフロイト的かも。しかし実は精神分析的紋切型にも悪意を向けて笑い物にしているのではないかとも思う。『8人の女たち』とかにも通じるオゾンの原点とも言える長編第一作。パゾリーニの『テオレマ』を連想する人が他にもいたから驚いた。
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