「金字塔」ブレードランナー くつむしさんの映画レビュー(感想・評価)
金字塔
なぜ今更レビューするかと言うと、満点作を語ってみたかったから。もし若い映画好きで未見の方がいたら、教養として鑑賞して欲しい。SFの枠を越え総合芸術たる映画の金字塔のひとつだから。「架空の世界」の表現手段は、小説や漫画などがあるが、光と動きを伴うビジュアルと音を用いることができるのが映画。(演劇は物理的制約が大きくアニメは絵である以上現実と地続きになれない)そこで創作者が頭の中で思い描いている世界観を完全に表現して見せたのが本作である。妥協はそのままチープさに繋がる(逆手に取ったのがパペットやプロップが魅力となった初期スターウォーズ)ので、制作時期を考えるとその拘りはもはや異常。もちろんストーリーや俳優陣の仕事ぶりも秀逸。残念なのはあまりにも多くのクリエイターが本作の影響を受けすぎていて、初見なのにすでに「どこかで見たことがある」表現になってしまうこと。あの衝撃は我々老いぼれだけが得た特権だ。補足するとデザイナーを務めたシド・ミードの存在も極めて大きく不可欠だったと思う。ちなみに「ブラック・レイン」では見なれた阪急梅田広場がリドリー・スコットにはああ見えるのかと唸ったものだ。まさに鬼才である。
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