「泥棒が喝采を受ける喜劇。」ブリンクス こっこさんの映画レビュー(感想・評価)
泥棒が喝采を受ける喜劇。
まず先に言っておくと、私は幼少期から『刑事コロンボ』が大好きだった。まだNHKで放送していた頃からだ。
ピーター・フォークのあの一筋縄では行かない芝居や可愛らしい笑顔に魅了されていた(とは言え、それ以前の映画作品等は流石に古すぎてついて行けてない)。
その後NHKから日テレに放送が移った頃、この作品と出会ったのだ。あの年頃を考えれば当然地上波だったろう。それも刑事(=正しくは刑部補)ではなく、今度は〈大泥棒役〉だと言う。
この作品は、実際に起こった(一流)警備会社現金盗難事件を映画化してしたもので、映画のタイトルはずばり、その警備会社の名前なのも人を喰っているw。
大恐慌当時、企業や銀行への強盗が多かった為、現金輸送を専門としていたのが同社で、厳重な管理システムを宣伝して、泥棒側も『アソコは固過ぎて(厳重過ぎて)ダメだ…』と諦められていた様な状況だった。
そこに前のお勤めで刑期を終え、出所したてのピーター・フォークが帰宅する所から話は始まる。
自分の知らない間に、そんなスゴい会社が出来たなんて癪に触るとばかりに、詐欺師の能力も発揮して警備会社を調べ上げる。
すると、どうしてどうして『警戒厳重が売り』の筈の会社が、碌なセキュリティーもやっていない事に気付くのである…。「何だ、偉そうな態度してるくせに舐めやがって…!」と成る。
とまぁ、お話はここまで。興味が湧いた方々は、是非ともDVD等を探してみて、続きを愉しんでいただきたい(地上波で放送した際の日本語吹替版は、チャンと小池朝雄氏がやっていたが、DVDに吹替が入っていたかはちょっと定かじゃない。ただ何度かDVD化はされているので、新品でも中古でも出回ってはいると思う)。
大不況で貧富の差が深刻な時代、マフィアレベルではなく〈街の泥棒おじさんチーム〉がシレッと大金を盗みに警備会社にチャレンジする姿に、笑いながら、ちょっとドキドキしながらどんな結果になるのか…楽しみに御覧頂きたいと思う。
こういう楽しい喜劇、アメリカでも減ったねぇ…。ドタバタするばかりのアクションやアニメがどれだけ量産され、AIだ,CGだ,VFXだ…と技術がどれだけ進化しても、「面白くて笑える人間のお話」の台本が書けなけりゃ、いずれ映画は衰退していくよ…。
ハリウッドも、右肩下がりに企画力が下がっていってる気がするしね…。