劇場公開日 1989年10月7日

「【今作で、他の日米の数々の素晴らしき俳優よりも圧倒的な存在感を発揮していたのは、松田優作である。】」ブラック・レイン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【今作で、他の日米の数々の素晴らしき俳優よりも圧倒的な存在感を発揮していたのは、松田優作である。】

2020年6月1日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD、TV地上波

怖い

難しい

幸せ

―リドリー・スコット監督が、今作の”黒い雨”を経験していない狂気のヤクザ、”サトー”役に松田優作を抜擢した理由が、彼が出演した森田芳光監督の「それから」の演技を見て決めたという理由が、久しぶりに今作を鑑賞して腑に落ちた。-
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 彼の、日本人離れした長身、鼻筋の通った風貌、そして何よりも迸る狂気である。
 「それから」はご存知の通り、夏目漱石の名作の映画化作品で、アクションシーンは勿論全くない。
 が、”高等遊民“長井代助を演じた松田優作の抑制した演技からは、”狂気性”が明らかに滲み出ていた。
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 今作の布陣は、主役の型破りな殺人課の刑事ニックを演じたマイケル・ダグラス、相棒チャーリーを演じたアンディ・ガルシアを始め、日本サイドでも、高倉健、若山富三郎、内田裕也、國村隼(分かるかな?)と豪華キャストである。
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 だが今作が強烈に印象に残っている要因は、チャーリーを”かッと開いた口とサングラスの奥の、禍々しい目で見据え”、バイクに乗り、日本刀の先端をアスファルトの地面に付け火花を散らしながら、ニックの眼前で切り殺すシーンや、
 世話になった筈の親分、菅井(若山富三郎)の前で指を詰めるシーンと、その後、表情を一変させ”かッと開いた口を開け”菅井の手に刃を立てるシーン、
 等、松田優作演じた”サトー”が出演するシーンである。

 メインストーリーとしては、アメリカの型破りな刑事と、日本の堅苦しい警察組織の中で生きる高倉健演じる松本警部の男同士の繋がりを描いているのであるが、
 個人的には、松田優作の圧倒的な存在感が、この映画の魅力である、と思ってしまうのである。

<彼は今作での素晴らしい演技で、ワールドワイドでの活躍が期待されたが・・。
 彼の遺した財産が、今や邦画界を牽引している事実には、敬服せざるを得ない。>

NOBU
大吉さんのコメント
2023年12月8日

個人的な思い出話に共感ありがとうございました。
國村隼出てましたね。

大吉
地元ワンダーランドさんのコメント
2020年6月7日

ブラックレインを論評してくれていて、同士がいたようでうれしいです。松田優作の文字通り命をかけた鬼に迫る演技。これぞ役者、役者同士の本音の掛け合いが、楽しいと思いました。ありがとうございます。

地元ワンダーランド