「岩井監督の前衛的で独特の映像美と、寓話的でファンタジーなストーリーから一転、黒い羽が舞い散る美しくも残酷なエピローグが今でも強く印象に残っています。」PicNic 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
岩井監督の前衛的で独特の映像美と、寓話的でファンタジーなストーリーから一転、黒い羽が舞い散る美しくも残酷なエピローグが今でも強く印象に残っています。
目黒シネマさんにて『~特集 岩井俊二 四つの心象風景~』(6/29~7/5)と題した特集上映に監督初期『Love Letter 4Kリマスター』『PiCNiC』『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』4作品上映。
『PiCNiC』(1996年/68分)
精神病院に入れられたココ(演:CHARA氏)とツムジ(演:浅野忠信氏)、サトル(演:橋爪浩一氏)の3人が病院を脱走、塀を伝って「世界の終わり」を見に行くための塀の上を歩き続けるロードムービー。
岩井監督の前衛的で独特の映像美と、寓話的でファンタジーなストーリーから一転、黒い羽が舞い散る美しくも残酷なエピローグが今でも強く印象に残っています。
本作がきっかけで交際をスタートさせたCHARA氏と浅野忠信氏の瑞々しい演技、特にCHARA氏の小悪魔的コケティッシュな魅力は出色ですね。
塀の上から望む30年前の東京の街並みや今は無き近代建築の数々も貴重で懐かしいです。
特に舞台となる退廃的な精神病院は、現在はオリナス錦糸町近辺の精工舎旧工場跡地。
時計塔はじめ作品世界にこれ以上ないほど見事に調和する絶好のロケ地ですね。
公開当時、日本映画界には類を見ない世界観は30年経った今でも色褪せず新鮮です。
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