劇場公開日 2025年3月7日

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「俺のための物語と思った」白夜(1971) 悠さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 俺のための物語と思った

2025年10月8日
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鑑賞方法:映画館

個人的なレビューになる。この映画の男にとって恋とは画材である。彼は恋し、妄想し、それをテープに録り、キャンバスに落とし込む。
ブレッソンのこの映画をふくめ、優れた映画は多面的に物語を語れる一方で、人間は一面的にしか物事を観ることはできない。私の場合はこういうふうにこの映画を観たわけだ。
男は恋愛体質である。色欲をキャンバスに落とす。その恋愛はプラトニックであり、それ故の気持ち悪さもある。その気持ち悪さを含めた概念をキャンバスに落とす様はストイックである。そのストイックさを女性は誤解してしまう。故に男の恋は実らない。
正直だからなんなのだ、と思う。しかし、確かに彼は存在し、ボサノヴァとフォークとフレンチポップが流れる世界に確かに二本足で立っている。それを確かに表象できている。結局映画にできるのはこういうことで、だからこそ、素晴らしく、美しいのだ。
一緒に観に行っていた友達は寝ていた。僕は感動していた。

悠