劇場公開日 1988年12月10日

「【中年オヤジという醜悪な生き物の魅力満載】」ビートルジュース jin-inuさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0【中年オヤジという醜悪な生き物の魅力満載】

2024年9月23日
PCから投稿

俗物両親との不和により闇落ちした中学2年生女子が幽霊たちとの交流を通して健全な中学生に戻るまでを描く本作。主役が中学2年生女子と言うことで、エログロナンセンスは抑えめとなっています。おっさんの自分には毒も悪ノリも全然足りず、退屈でした。見どころはサンドワームや死後の世界の住人達の造形でしょうか。ただ、劇中のミニチュア模型と同じで、作ってる人が一番楽しんでいるタイプの映画です。

本作の最大の魅力はやっぱりビートル・ジュースのキャラ設定。ダミ声で薄い頭と見た目も醜悪、人を嫌がらせ不快にさせることにかけては誰にも負けないゲス男、ロリコンエロ親父とまるでいいところなしのキャラをマイケル・キートンが嬉々として演じています。中年男性という生き物がいかに醜悪なものなのか、過剰な演技で見せつけてくれます。俗物両親を下卑た中年幽霊が蹴散らす、まさに毒をもって毒を制す。画面からビートル・ジュースが消えると、この映画は途端に退屈になってしまいます。ビートル・ジュースやケースワーカー・ジュノたちの背景は全く描かれませんので、キャラや存在に深みは感じません。彼らはただ飛び出してきてただ暴れるだけです。なぜ死後も霊魂がさまようのか、ビートル・ジュースは「生きている」と言えるのか、なぜ死後の世界は官僚的なのか、神はいるのか、「死者の死」とはなんなのか、その辺のところはすべて曖昧です。最初に助けた蜘蛛がきっと後で助けに来るはずと思ってましたが、華麗にスルーされました。

このビートル・ジュースのキャラクターはその後のジョーカーにも影響を与えたのでしょう。翌年公開のティム・バートン監督バットマンでは本作でビートル・ジュースを演じたマイケル・キートンがバットマンに、名優ジャック・ニコルソンがジョーカーに扮しています。

jin-inu