劇場公開日 2001年3月17日

「私に人間の深淵をのぞかせてくれた初めての作品です。」羊たちの沈黙 のりたまちびさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 私に人間の深淵をのぞかせてくれた初めての作品です。

2025年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

知的

難しい

初回は大学時代に観ました。
怖い映画は、これが初めてでした。
再度観たいと思っていたので、2回目の鑑賞は、感慨深かったです。

初回鑑賞の帰り道には、中盤の磔と羊のエピソードを話すシーンしか私の中に残っていませんでした。
「羊たちの沈黙」というタイトルが、文学的で秀逸!と、悶えました。
あの牢が博士の本来の居場所だと勘違いしていましたが、出張先だったんだーという発見が今回ありました。

クラリスと博士が話すシーンは、博士がクラリスの内面をのぞき見するまさしくその瞬間で、前回も今回も息を詰めて観ていました。
「クラリスー、逃げてー」と叫びたくなりました。
こんなふうにしか、自身の能力を使えない博士が哀しかったです…。

初回鑑賞時、博士やビルは、社会から排除されるべき異常者で、絶対に近づいたらいけない人物だと思いました。
人を傷つけること、殺すことにハードルが全くない人がいることに、驚きました。
私は、昆虫でも無理です…。
心底怖かったです。
この映画を観た後に行ったひと月のヨーロッパ卒業旅行では、私の警戒レベルは常にマックスでした。
今の私は、博士やビルのような人に対して、社会がどのくらいのエネルギーを使って、どのように向き合うのがいいだろうと考えています。
一般の人は、彼らに全く太刀打ちできないので、全力で逃げないといけないでしょうね。
ただ、専門家といえども、彼らに対応するのは難しいだろうな、知識を持っていても、ひとりの普通の人間だもの。
多様性尊重って、ホント難しい…。

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のりたまちび
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