パリ、テキサスのレビュー・感想・評価
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ギターの音色が奏でる!! 真紅に染まる♥空白の時間を埋めるロード・ムービー
4年間、行方不明だった兄のトラヴィスが
病に倒れ、弟のウォルトに会った!
不運に見えたトラヴィスでしたが、
実の息子、ハンターに初めて会うことができるチャンスを与えてくれたように思いました。
心に傷を負った男性が、自分を探す放浪の旅に出るストーリーでした。
久しぶりに会って、兄と弟が空白を埋めるようにアルバムの写真を見たり、8ミリビデオの
映像を見たりして、家族の想い出を振り返る
場面は、兄弟2人の物語でした。
育ての母親、アンヌはハンターを自分の子供のように愛していました。
ハンターは、トラヴィスが実の父親であると
知って戸惑う様子を見せていたけれど
夕景と道路を走らせる車のライトの灯
抜けるような青空、高層ビルの下
トランシーバーで会話するトラヴィスと
ハンター。
テキサスのパリスに向かうトラヴィスは
救いの地を求めていたように思いました。
パリスで再会した元妻、ジェーンと
トラヴィス。
マジックミラー越しに語られる感情の
ぶつかり合い!『愛』
受話器を通して聴こえてきた声の主
に気が付いたとき!
ジェーンの切ない感情が溢れ出してきました。
ホテルで初めて会うことができた
ハンターとジェーンが抱きしめ合う瞬間。
ジェーンの濡れた瞳、ハンターの横顔
美しい親子の愛がありました。
2人から去っていく選択をしたトラヴィス。
自己より、家族の愛情を深く感じた
ストーリーでした。
不朽の名作
何度観ても発見があります。
3度目なのですが、毎回感想が違います。
20年前に初めて観た時。
まるっきり理解できなかった。
映画の基礎知識と映画体験があまりに欠けていたのでしょうね。
2回目。3年前。
これは凄い切ないラブストーリーなのだ。
トラヴィス(ハリー・ディーン・スタントン)が思い詰めてる愛に
涙が止まらなかった。
究極の愛の物語。
そう思いました。
そして今回。
息子への愛と責任。
そう感じました。
ファースト・シーン。
広大な赤茶けた砂漠のような土地。
乾ききった男が水を求めている。
生き倒れた男。
一言も話さない。
記憶がないらしい。
一枚の紙切れの電話番号。
電話を受けた弟はロサンゼルスから駆けつける。
優しい弟。
徐々にその男・トラヴィスが家を捨てた理由が見えてくる。
彼には若い妻と生まれたての男の子がいた。
育児と男の束縛を嫌った妻・ジェーン(ナスターシャ・キンスキー)は、
トレーラーを燃やして出て行ってしまった。
それから男は可笑しくなった。
発見されるまでの4年間は、何をして生きてきたのか、
分からない。
弟のロサンゼルスの家に憩い、息子の7歳に成長したハンターと
どう向き合えば良いのかも分からない。
そして義妹のアンから、ジェーンがらの送金が月に一度
ヒューストンの銀行から振り込まれると聞かされる。
ハンター(ハンター・カーソン)を連れてピックアップトラックで
ヒューストンに向かう。
銀行の前で張り込む。
見つけたのはハンター。
赤い小型車を尾行する。
行き着いた場所はゲームセンターのような、バーのようなビルの
風俗店。
ジェーンが美しい。
トビッキリに美しい。
(ナスターシャ・キンスキーの美しさは、事件です)
カーテンで仕切られたブースに幾つもの小部屋がある。
女の個室のような部屋にはマジックミラーが付いている。
客からは女が見えるが女から客の姿は見えない。
客は受話器越しに女と話すのだ。
2回目に会ったとき。トラヴィスは長い話をする。
どうして、こうなってしまったのか。
男が女を愛しすぎて縛り付けてしまったから・・・。
息の詰まった女は息をするために、子供と3人の生活を壊した。
若く美しすぎる女。
トラヴィスには似合わない。
「息子(ハンター)に会いたくないか?」
「ダウンタウンのホテルにいる。1520号室だ」
ジェーンとハンターが抱き合うシーンは、なんとも言えない。
安堵、放浪の果ての帰航。
トラヴィスとジェーンとハンター。
このトライアングルは、上手くいかない。
けれどジェーンは母親ならちゃんと出来るはず。
心が壊れるほど、1人の美しい女性を
愛しすぎた男
身を滅ぼす愛
究極の愛の映画だった。
めでたしめでたし。大団円。
ライ・クーダーだ。懐かしい♥
家族の幸せそうな姿をバックにして流れる『ライ・クーダー』の哀愁のあるメロディが泣けてくる。
ライ・クーダーのこの曲を聞くのは何年ぶりだろう。大森か渋谷で見た。しかし、最後まで覚えていないと言う事は、初見はその良さが分からなかったと思う。今日最後まで通して見る事が出来た。
さて、
この映画に対する記憶は、後の『バグダッドカフェ』と重なり『バグダッドカフェ』が邪魔して、私の頭の中からこの映画は消えたようだ。『トラヴィス』と『ジャック・パランス』が似ている。考えてみれば、どちらも、西ドイツ映画だ。
このワルツのインストルメンタルな曲は『ミシュテカの歌』と言ってネイティブアメリカンの曲の様だ。ライ・クーダーのアルバムに無い訳だ。今回、それが分かったので、大変に良かった。
男目線な納得できない面もあって、古い時代の男の価値観で物を言っていると感じた。
また、こんな場所で、さらし者にされる妻に対する『怒り』や『哀れみ』を語る見方もあるだろうが、こんな場所に行かないと自我もコントロール出来ない『男の性の醜さ』を表したと解釈したい。だから、この映画を評価する。トラヴィスの妻はこの男には未練は全く無いはずだ。未練があっては駄目だ。そんな都合良くは行かない。もう、4年も経過しているのだから、いくら鈍感な男でも分かる。寧ろ、この男が弟の家を離れたのは、弟の妻が自分に好意を持ってしまった事が原因。トラヴィスはそこから逃れたい。自分の息子を、弟と弟の妻の3人で育てる事になると、血の繋がった弟は捨てられ、弟の妻は自分を選ぶ事になる。だから、本当の母に息子を返す必要がある。私はそう解釈した。弟夫婦に子供がいない事に何か意味があると見た。
めでたしめでたし。大団円。
赤いドレスのナスターシャ・キンスキー‼️
主人公とその息子が、自分たちを置いて行方が知れなくなった妻を探す旅に出る・・・ヴィム・ヴェンダース監督は「都会のアリス」「まわり道」「さすらい」といった作品でロードムービー作家として知られていたのですが、それらの作品がどちらかというとドキュメンタリーぽい作風であったのに対し、この「パリ、テキサス」は夫婦愛と親子愛をからめたメロドラマ的な展開で、そこが我々日本人好みになってるんじゃないでしょうか‼️その無常観漂う佇まいが印象的な主人公ハリー・ディーン・スタントンが、テキサスの荒野をさまよう冒頭の風景の荒涼さが象徴する映像‼️切なさを高めるライ・クーダーのギター音楽も、その映像にぴったりとハマってます‼️そして圧巻は、クライマックスの覗き部屋でのガラス越しの夫婦の再会シーン‼️「東京画」というドキュメンタリーを製作するくらい小津安二郎監督を敬愛するヴェンダース監督‼️その小津安二郎監督へのオマージュなのか、カメラをロー・アングルの長回しで撮影、妻への贖罪を祈るような神秘的な名場面となっています‼️そしてこのシーンで、待ちに待ったという形で登場する赤いドレスのナスターシャ・キンスキーの美しさは、この世のものとは思えません‼️女優として新しい領域を開拓した彼女の代表作ですよね‼️そして妻と息子を合わせた主人公がまた1人で去っていくラストシーンも、男ならジーンとくるでしょう‼️
子役のハンター•カーソンの演技が秀逸
彼の凛とした演技に心を掴まれました。
8歳。現実の世界にも、環境などによって、年齢以上に精神的に強くならざるを得ない子どもがいると思います。
子どもを育てる上で様々な事件や問題が多い、現在に通じるメッセージが込められているように感じました。
ナスターシャ・キンスキーがとても綺麗でした。
最後にこの映画を教えてくれた友人に、心より感謝します✩
ロードムービーの到達点
1984年カンヌパルムドール受賞作
ロードムービーの到達点と言えるべき作品
ヴィム・ヴェンダースは結末を考えずに撮り始めたらしいが、サムシェパードの脚本はそんな事を感じさせない
人格が壊れてしまった男が家族の再生を試みるが、自分はやはり破壌しているんだと再認識して去っていく結末が物哀しい
ロビー•ミュラーによるカメラワークが素晴らしく、モハーベ砂漠や田舎のバー、モーテル、ビルボードなどアメリカのロードサイドを美しく描きだしている
ヴェンダースやミュラーの様なヨーロッパ人でなければこれらを美の対象物として撮らなかったであろうと思う
ライ•クーダーのアコースティック•スライドギターも傑作で、ロビーミュラーの描く美しいシーンとマッチして素晴らしい雰囲気を醸し出している
自分も親になって見返してみると、昔は解らなかった主人公のトラヴィスの苦しみが解ったし、義兄の子供とはいえ、育てていたかわいい盛りのハンターと別れてしまったアンの心情を思うと悲しい
斉藤工と品川祐の映画紹介番組でも、このパリテキサスは別格の出来と称えていたが確かにそう思う
ストーリーなんてどうでもいい。映像美を堪能する。音楽も映像にあっている。
繰り返し視聴することに耐えうる映像美。
ストーリーなんてどうでもいい。
ナスターシャキンスキーも、どうでもいい。
いなくてもいいぐらい。
ただただ、LAやヒューストンや、そういうアメリカの風景が美しい。
自然だけじゃない、人工物も美しい。
ドライブスルーの銀行、ハイウェイ、映像のすべてが美しい。
夢の終着点
今まさに眼前に広がる映像が自身の映画経験そのものに影響を及ぼすことって実はあんまりなくて、100本のうち60本くらいは可もなく不可もない平坦さをじっと耐え抜いている。後になってそれらの蓄積を眺めているうちに傾向やら感慨やらが見えてくることもあるけど、見ている最中に芯から打ちのめされるような作品は両手で数えられるくらいしかない。本作はその稀有な一本。
トラヴィスの大切な写真に映ったテキサス州パリスの砂漠、それは「限界」のメタファーだ。一度は散ってしまった家族という夢をボロボロのフォードでいくらかき集めても、彼らが最後に辿り着くのはこの不毛なる砂漠なのだ。
それでもトラヴィスは息子との生活の先に家族の再生を思い描かずにはいられない。4年前に撮ったホームビデオを観るシーンや、車道越しに息子と歩調を合わせながら帰宅するシーンが印象的だった。そういえば是枝裕和『そして父になる』にも同じようなシーンがあった。
ガラス越しに妻と4年ぶりの再会を果たすシーンは本当にすごかった。ガラスというフィルターを介しているからこそ互いに本心を吐露できた二人。一方でガラスという壁があるがゆえ永遠に交わり合うことができない二人。あまりにも悲痛な二律背反。壁を壊したところでどうにもならないことは二人とも痛いくらいよく理解している。
息子を妻に託し、ひとり夕闇に消えていくトラヴィス。彼の頬を涙が静かに伝い落ちていく。そこに西部劇的なダンディズムの気配はなく、美しい記憶に押し潰された男の、海よりも深い悲しみだけがある。
ナスターシャ・キンスキーが美しかった
ガソリンスタンドで倒れた記憶喪失の男は、弟により4年前に失踪したトラビスだと確認された。トラビスはテキサス州の町パリに所有する土地を目指していた。徐々に記憶を取り戻したトラビスは、4年ぶりに再会した幼い息子と一緒に、妻ジェーンを探しにヒューストンに向かういう話。
アメリカにはヨーロッパの街の名前や街の名にNEWを付けてる所が多く有るが、パリまで有るとは知らなかった。後でググったらテキサス州ダラスの北東に本当に有ったので行ってみたくなった。
鏡越しに話をするトラビスとジェーンの会話が切なかった。
夫婦だけじゃないだろうけど、愛しすぎると嫉妬するのは有る意味普通だけど、酒に溺れちゃいけんよね。
ジェーン役のナスターシャ・キンスキーが美しかった。
ロードムービー、家族との交流、男に何があったのか…見どころたくさん!
今作はテキサスの広大な砂漠にポツンと男がいるシーンから始まる。汚れてくたびれた姿、生気はないし、全く喋らない。
始まりとして最高。
この男には一体何があったのか?一気に引き込ませてくれた。
そんな男トラヴィスを連れて帰ろうとする弟とのロードムービー、トラヴィスの言うことを聞かない様は観ていて歯痒くなる。
こんな感じで進んでいくのかなぁと思っていたら、四年ぶりに再開した弟夫婦、実の息子との再開。
トラヴィスが正気に戻るとともに、息子との距離感が徐々に埋まっていく様子は観ていて微笑ましい。
かと思っていたら、行方不明の妻ジェーンを探しに再びテキサスに向かうロードムービーが始まる。
その後、ジェーンと間接的に出会い(ジェーンがとても綺麗で印象に残った)、遂にトラヴィスに何があったのか分かる。その後のトラヴィスの選択について、そうなるのなぁと悲しくなった。観終わった後も余韻に浸った。
ゆったりとした話だけど、ロードムービー、家族との交流、男の謎とてんこ盛りでアート作品としてもエンタメ作品としても楽しめた。
とても良い映画
『ヴィム・ヴェンダース レトロスペクティブ ROAD MOVIES/夢の涯てまでも』にて鑑賞。
大学時代、これを観た友人がみんな口を揃えて、「良かった」だの「ナスターシャ・キンスキーは最高だった」だのと宣(のたま)っていらっしゃったので、今の今までスルーして来ました(笑)
で、今回良い機会だったので、やっと観ました…笑(DVDではなく劇場で観たかったのです)
たぶん、みなさん、主人公トラヴィスとナスターシャ・キンスキー演じるジェーンがマジック・ミラー越しに会話するあの"名場面"に感動したんでしょうなぁ、と容易に想像出来ました(笑)…本日、僕の周りでも数人が鼻をすすってはりましたわ…笑
で…
ん〜、そんなに共感出来るシーンでしたかねぇ(笑)
マジック・ミラー越しでもあれだけ喋り倒したら、「話している相手が誰なのか?」にいい加減気付くだろう…という考えが頭の中で気になり出して、正直素直には感動出来ませんでしたわ(笑)
それに、お互いの"我が儘"な事情というか痴話喧嘩?で別れた2人が、後悔の後に再会したからといって…だからどうした?(笑)
今は育ての親の元で幸せに暮らしていたハンター君が、そんな生みの親の事情で振り回されて、なんだか不憫だなぁと思いました。
…まあ、感性や感覚、受け取り方の違いなのかも知れません…人それぞれですから(笑)
*むしろ、ウルッと来たのは、トラヴィス家族3人がまだ幸せだった頃の様子を収めた8mmフィルムを、弟夫婦と一緒に久しぶりに見る場面でした。今やもう取り戻せない"人生最良の時"が永遠にパッケージされている映像は、なんだか懐かしい以上にただ虚しく、それこそ過去に対する後悔の念が湧き起こって来て、その取り返しのつかなさの大きさを想像すると、まるで自分のことかのように悲しくなってしまいました。この場面はなかなか秀逸だなと思いました…そして、この時ばかりは、ライ・クーダーのギターもなかなか良かったです(笑)
好き嫌いハッキリ別れるね
若干ミステリアスありの、若干ドラマありですが小津君信奉者らしく、あまり抑揚のない話を抑揚なく淡々と綴るので、この独特の感覚にはまる人には麻薬ですが、受け付けない人には全くかったるい映画でしょうね。
最初はグダグダ、最後は心が張り裂けそう
最初は、広大な砂漠のロードムービーだったが、最後は胸が張り裂ける思い。
こんな展開の映画見たことない。
ナスターシャキンスキーが、見せてくれる。
子役も良い。
公開された当時の自分は、この感動を分からなかっただろう。
この歳になって、わかる映画。こんな感じになると思わなかった。
【パリ、テキサスで】
ヴィム・ヴェンダース作品で劇場で初めて見たのは、この「パリ、テキサス」だった。
なんて美しい映像作品なのだろうかと思った。
今でも本当に大好きな作品だ。
今回のBunkamuraル・シネマで、ヴィム・ヴェンダース・レトロスペクティブとして10作品が上映されることになって本当に嬉しい。
この「パリ、テキサス」は、ヴィム・ヴェンダースの真骨頂ともいえるロードムービーの一つとされているが、その構成が、何とも言えず印象的だ。
ある意味、カノンのような感じ......というか、物語は二重構造になっている。
そして、能動的ではなくて、受動的な視点が重要に思える。
トラヴィスは、弟に見つけてもらった。
息子に会わせてもらった。
打ち解けてもらえた。
そして、ジェーンの仕送り。
だから、
ジェーンも見つけられるべきだ。
これは、自分が見つけなくてはならないという能動的な衝動とは異なるような気がする。
息子に会わせられるべきだ。
打ち解けてもらうべきだ。
最後の、ガラス越しの、トラヴィスとジェーンの会話は、4年前だったら、感情表現もままならず、平行線で交わることもなかっただろう。
たった、一枚のガラスを挟んで、想いを語り合う二人。
長い時間が必要だった。
だが、理解は深まった。
実は、僕たちの大切な人との関係も、ずけずけと入り込むより、ちょっとだけ距離を取る方がいい関係でいられることは多い気がする。そんな風にも感じる。
見つけられたジェーン。
息子に会わせられたジェーン。
息子に抱擁されたジェーン。
冒頭で、受動的と書いたのは、自ら掴み取るとかではなく、きっと皆に幸せが降ってくるように思えたからだ。
この「パリ、テキサス」を観て、映画は想像を膨らませて観ることが出来るのだと思った。
僕はいつか、この三人はまた出会うと思う。
パリ、テキサスで。
これは、僕の希望の物語だ。
※ ジェーン役のナスターシャ・キンスキーは本当にきれいだと思った。そして、ジェーンが、僕の持っていたウォークマン初号機を持っていることが、ちょっとした優越感にもなった。僕の大切な作品の一つだ。
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