「そこに「愛」はあるんか??」パリ、テキサス 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)
そこに「愛」はあるんか??
テキサスの砂漠を彷徨って小さな町にたどり着いて倒れた男。
持ち物から、遠くのロサンゼルスに住む弟に連絡が入る。
弟は4年間行方不明だった兄を迎えに行くが
その兄は、何を訊いても、何も答えず、
心配する弟からも逃げようとする。
そんなひどい状態から話は始まる。
弟がとってもいい奴で、
辛抱強く何も話してくれない兄に付き添い
自宅へと連れて帰る。
出だしから「ダメ男」嫌いの私にはもう許せん!!(笑)
けど、1人の男が妻も子供も捨てて
4年間もアメリカの荒野を彷徨っていたのには
深〜〜い深〜〜い訳があってね〜〜。
それを知った時、貴方はどんな感想を抱くのかしら??
映画館で全集中で観るタイプの映画です。
で、月に8回ほど映画館で映画を観る
中途半端な映画好きとしては
コロナの自粛期間にネット配信で鑑賞した時は
集中力が持続せず、どうも最悪な感想になってしまった。
(その時の最悪な感想が幾つか後に転がってます。
システムが変わって削除出来ないため。(苦笑)
映画館で集中するしかない環境で観たら
また感想が変わるかと思い、
午前10時の映画祭で改めて鑑賞。
4Kリマスターの画面は
青空と荒野と彷徨う男の赤いキャップの
コントラストが美しく
流石に家で配信で観るのとは大違いでした。
その分、確かに自宅で配信での鑑賞より
内容は理解出来たがその分、何かとモヤモヤした感情が残った。
弟が異常にいい奴過ぎて主人公トラヴィスに腹が立つ。
弟の妻、アンがなぜかトラヴィスに幼い子供の様に
過剰にベタベタ接する感じがちょっとキモイ。
これって「大人になれないトラヴィス」
という記号なのか〜〜??
トラヴィスの8歳の息子ハンター。
4年間も放り出されていたハンターとの距離を何とか詰めようとするが
結局大事なところで、子供に責任転嫁するダメな父親〜〜。
若く美しい妻に執着し過ぎて、嫉妬のあまり妻を束縛し
妻の精神を崩壊寸前まで追い込んだ4年前のトラヴィス。
マジックミラー越しに4年ぶりに再開した元妻に
正体がバレないのを良いことに
自分の執着のままに、結局4年前と同じ言葉で
激しく問い詰めてしまう。
私には、どこまで行ってもトラヴィスは
女を、自分の所有物、執着の対象としか扱えない
哀れな男に思える。
女性を1人の存在として尊重することが出来ない。
トラヴィスに「愛」があるとすれば
何も変われない自分自身を諦めて
せめて母と子が元の生活に戻れる様に見届けることだけ。
それがトラヴィスの4年間に見出した「愛」なのか??