「作家性が強すぎて落胆」パリ、テキサス odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
作家性が強すぎて落胆
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テキサスの荒涼とした礫地を行く放浪者、サスペンスを思わせるほどの小出しの状況説明、最後まできて一家離散の心の闇がやっと語られる。ナスターシャ・キンスキーを使ったことからロリコン親父の被害妄想の説得性や放浪という自虐的な現実逃避も分からないではないが身勝手な感傷主義に思えてならない。
脚本途中で製作に入り結末をどうするかは脚本のサムシェパードと監督のビム・ベンダースは電話で話して纏めたがサムは不本意だったらしい、後に組んだ「アメリカ、家族のいる風景」で補ったと言われている。特殊な家族を描くことで平凡な家族の見落としがちな何かを伝えたいという手法は是枝監督も使う手だがベンダースは本作の主人公のように多くを語らない、ドイツ表現主義では万人受けなど端から眼中にないのだろう。
こういうテンションの張り方はタルコフスキーなども用いるが芸術性が高いとも思えない。
作家性が強い映画で製作動機が理解できないがカンヌの批評家には高評価だったようだ。
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