「戦時の仇花」パットン大戦車軍団 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
戦時の仇花
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タイトルから砂漠の狐と恐れられたロンメルとの戦車戦が見どころの戦争映画と思われがちだが戦時の仇花のようなパットン将軍の人物像に迫った伝記的映画です。
実際のパットン将軍の言動はもっと過激だったそうだが、そこは映画なので抑え目に脚色されている。脚本が「ゴットファーザー」のコッポラだから武人を描くには打って付けでしょう。
映画では気性の荒さばかりが表立っていますが、代々の軍人一家に生まれ、陸軍学校で専門教育を受けた生粋の軍人。早くから塹壕戦を否定し機動部隊の重要性を唱えて研究していた軍師でもありますから戦績は残しています。冷血漢とか戦争狂といわれても戦場には彼のような職業軍人が不可欠だったのでしょう。味方よりドイツ軍に評価された名将、彼の名声なくしてはノルマンディ上陸も果たせなかったでしょう。
臆病な兵士を叱責したことで司令官の任を解かれるあたりはダブル・スタンダードの好例でしょう、同時期に兄弟全員戦死を防ぐ「プライベート・ライアン」や良心的兵役拒否者を描いた「ハクソー・リッジ」などの戦争映画と併せてみると国家の二面性が透けてみえますね。
ラスト・シーンで荷馬車に轢かれそうになりましたがパットンは自動車事故が元で亡くなっていることへの暗喩でしょう。公開時に観ていたがBSでやっていたので再鑑賞、3時間近い長編、見応え十分でした。
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