「アメリカ人が嫌いになること間違いなし」パットン大戦車軍団 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカ人が嫌いになること間違いなし
巨大なアメリカ国旗を背景にして、冒頭の兵士への演説が凄い強烈。勝つのが好きなアメリカ人。勝つことしか興味がないんだ。この演説によってアメリカ人が嫌いになること間違いなしだ。ここでぐいぐいと引き込まれる。英雄だと讃えられようが、このおっさんのキチガ○のような性格にはへどがでそうになるのだ。
モロッコではドイツ軍ロンメルがライバル。ここでも好戦的なパットン将軍の姿が描かれているが、敵機の空襲があっても平気で短銃で立ちはだかったりと、かなり精神的におかしくなってることがわかる。
ナチのロンメル将軍の戦術書を研究していたパットンだったが、イタリア侵攻に際してはロンメルの部下がパットンの書物を読み「ロマン主義の騎士であり16世紀の戦術しか持たない男」だとわかり、古代アテネと同じ戦略でくると読んでいた。パットンの戦車軍団と対峙したときにはロンメルは不在。やがて英軍と合流して、モントゴメリーとライバルのような関係にもなる。
こうした戦争映画を観ると、「反戦映画とは?」という疑問に立ち返ってしまう。よくある明らかに反戦を謳う映画とは違い、戦争の狂気を描いた作品だからだ。なにしろ『地獄の黙示録』のコッポラが書いた脚本。反戦というより、馬鹿げた将軍にスポットあてて厭戦感を観客にじわりじわりと与えるない映画と思えるのです。そりゃ、好戦的な人が観ると軍隊の厳しさや緻密な作戦のやりとりなど、好戦的な内容にも取ってしまえる。さすがに最後には連合国軍として隠れた英雄と祭りたてられるようなイメージも残るが、その直前にはソ連とも戦ってやるぞと意気込むほど戦争好きの性格がうかがわれる。「150万の敵を殺したぞ!」と自慢げに語る彼の姿がとても嫌悪する人物であると感じられるかどうかだ・・・また、なぜ米ソ冷戦が始まったのかが彼の性格によってわかるような・・・