八月の鯨のレビュー・感想・評価
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老後の生活の参考に・・・
すっかり老人になってしまった彼らの日常。サラは頑固な姉リビーの世話をし、幼なじみのティシャがブルーベリーを摘み遊びに来る。一日前に連れ合いを亡くしたマラノフ氏が釣りを楽しみ、ジョシュアは水道管を直していた。そして今夜はマラノフ氏が釣った魚をリビーとサラとで食べようという。
鯨は結局登場しないが、またあの鯨を見られるんじゃないかという希望が最後には訪れる。大きな窓を作ることに反対だったリビーも最後には自らジョシュアに発注しましたから。ただ、ストーリーよりは名女優たちの演技力。良い映画なんだろうけど、心打たれるほどではない。どちらかと言えば文芸的。
尊厳と優麗。
往年の大女優を筆頭に、総て大御所でとり揃えられた映画。
2013年にニュープリントされたものを名画座にて鑑賞。
L・ギッシュとB・デイヴィスの共演というだけでもすごい。
もちろんリアル期に私は生まれていないので、全部ビデオ。
お二人とも瞳が印象的な女優さんだった。特にベティの方は
歌のタイトルにもなった「ベティ・デイビスの瞳」が懐かしい。
映画では「イヴの総て」が最高に面白く何回も観た記憶がある。
彼女は実生活でも今作のリビーのような性格で^^;
それをまんま持ってきたのがあの役どころだというのも凄い。
また、マラノフ役のV・プライスは恐怖映画の常連だったので
私はよく知らない。が、マイケルの「スリラー」の怖い声の人で
非常によく知る人物となった。他にA・サザーン、H・ケリー・jr、
若い頃のM・スティーンバージェンも過去の役で出演している。
老いと死、今でいう「老人介護問題」が色濃く描かれている。
当時のメイン州で同じようなことが描かれていたのを実感する。
老人が老人を看る時代。頼る人間もなく(実際には子供がいても)
行く宛のない老人たちの、それでいて死ぬまで尊厳を失わない
凛とした生き様。それが二人の大女優によって淡々と描かれる。
実際の年齢を逆手に取り、リリアンを妹に、ベティを姉に、と
いう配役も面白いが、二人の性格までも見通したような演出が
冴え渡っている。
現在になって観てみて、確かに時代を感じる部分は多かれど、
いつかパートナーを失って老いていく身上と、残りの人生を
美しく楽しく生きていきたいと願う心情は、十分に理解できる。
誰もが美しい過去を憂い(また鯨がやってくると)再来を願い、
目耳足腰に自由が利かなくなった身体に対抗しながら生きる。
だけど想い返した時にいつでもいい人生だったと言えるような
そんな生き方をしていきたいと思うのみ。歳月が総てを物語る。
(往年の大女優の演技の細やかさをあらゆる所作に見てとれる)
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