「今度はアルモドバル版「秋のソナタ」か?」ハイヒール もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
今度はアルモドバル版「秋のソナタ」か?
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①本格的な映像作家になってきた気がする。かなりシリアスな題材だが、レタルの楽屋でのセックスシーンや女囚刑務所の中で突然始まるミュージカルシーンとかはそれまでのアルモドバル映画のコミカルな味は残っている。②今回は懐かしい映画のポスターや映像は出てこないが、主役の片方である娘のレベーカの口から、もう片方の主役である母親のベッキーに直接ベルイマンの『秋のソナタ』の大筋を語らせている。母であることより自分のキャリアを優先させた母親に対する娘の愛憎・葛藤を描いている点で両作は共通している。③アルモドバル映画でドラッグクイーンのリップシンクが見られて、アルモドバルらしいシーンだと嬉しかったが、その後ゲイであると思っていたレタルがレベーカとセックスするシーンはコミカルながらやや不自然に思ったが、実は大きな伏線であったことがわかる。この辺りの脚本が上手い。レタルの十八番の物真似がベッキーなのが出来すぎというかやや作りすぎ感が否めないが、後半のヒッチコックの「めまい」を彷彿とさせるアッと驚きの展開の衝撃度の前に霞んでしまう。
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