ニュー・シネマ・パラダイスのレビュー・感想・評価
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可愛い子には旅をさせよ
祖父のような、父親のような、歳の離れた友情だから、アルフレードはサルヴァトーレの未来を導く事ができた。アルフレードもサルヴァトーレを我が子のように愛していたが、断腸の思いで村を出るよう送り出し、サルヴァトーレが大物になる事を待ち望んでいた。信頼が深いからこそ、30年戻らずにいたサルヴァトーレ。きっと、まだ戻ってアルフレードに会える身じゃない、と奮い立たせて過ごした事だろう。恋愛にうつつを抜かすより、人生を羽ばたいて欲しいという深い思いを感じる。結果、サルヴァトーレはエレナとも釣り合う程に成長した。アルフレードの読みは深い。
カットされたシーンのセリフまで覚えていた9歳のサルヴァトーレ。30年経ったサルヴァトーレがアルフレードの形見としてキスシーンを再見した時には、フィルムのセリフよりもアルフレードや映画館パラディソやエレナと過ごした時間の思い出が走馬灯のように駆け巡るのだろう。アルフレードに言われた通りノスタルジーに耽らなかったサルヴァトーレが、アルフレードの死去によって、この時とばかり回顧している。
30年というアルフレードなしの月日の中で、パラディソは廃れ、村の人は入れ替わり、サルヴァトーレは大きく成長したが、アルフレードを生涯忘れる事はない。映写室のアルフレードから人生の出発点を貰ったサルヴァトーレは、いつしか映画監督として、もっと多くの人にアルフレードの教えを伝えているのかな?と思わせる最後が嬉しかった。
モリコーネの新しい映画音楽はもう聞けないんだ
モリコーネは、ずっと居ると思っていたので、訃報はとても悲しかった。モリコーネが西部劇の映画音楽を作っていたこと、全く知らなかったので、これからはそれを楽しみにすることにします。
あまりにこの映画の音楽が素晴らしいので、メロディーを耳にしただけで、ほんわかした気持ちになることもあれば、涙がでることもある。
息子が小学校にあがる前、お正月、この映画を見るために一緒に映画館に行った。落語も歌舞伎も文楽も楽しむ子どもだったのに、むずがり始めた。何故?字幕が、というよりそもそもまだ字が読めなかったのでした!シチリア訛りのイタリア語が分かる訳でもなし(私だって分からない)!ちょうど火事の場面でした、映画館を出たのは。そこまで、よく我慢した!子ども!えらい!吹き替え映画の存在理由の一つを、学習しました。
何度見ても、発見がある。トトの30年以上ぶりの帰宅を待つ、お母さん。若いときと同じ面差しでとっても素敵。イタリアの女性はお家にいてもおしゃれ。スカートにパンプス。お家の中も清潔で居心地良さそう。編み物をしていて、チャイムで直ぐにトトだと分かって、どんどんほどけていく毛糸だけが映る。それが、止まる。トト!これだけで、泣けてしまう。
人生は映画ではない。ただ素晴らしい
終わりよければ全てよし
途中まではそれ程の作品とは思わなかったが、最後のカットされたフィルムを観るシーンになった時、バックに流れる音楽を聴きながらキスシーンを見ていたら、思わず涙が出てきてしまった。
観る度に味がある
やっぱりいいなぁ
よかった
公開時以来で見た。こんなに退屈な映画だったっけと思うほど退屈で、なぜ感動したのかも忘れていた。アルフレードが会場に入れないお客に向けて外の家に映写する場面と、キスのフィルムをまとめた場面は記憶に強く残っていた。どっちも、ああこうだったのか、と特にキスのフィルムはすごく感動的だった。屋外に向けて映写したのは、実際問題ピントが合わないのではないだろうか。
トトは人生の成功者でありながらも満たされない人生を送っているようだった。それはおそらく監督自身の投影なのだろう。未婚で子供もいない。彼女すらいなかったアルフレードと比べるのはどうかと思うのだが、結果的に寂しい人生のようだった。
少年期、青年期とドラマ性に乏しい内容であったのだが、中年になって故郷に帰ってからがそれまでの積み重ねが一気に溢れだすように郷愁や他の感情を掻き立てられる。故郷を離れる際にアルフレードが戻って来るなと言った言葉が呪縛のようで、その通りにしたことが果たして正しかったのだろうか。飛行機で1時間で戻れる実家にちょいちょい戻っていた方がまともな人生を送れたのではないだろうか。
幸福とは一体なんだろうと身につまされた。音楽がズルいほど感傷的だった。
感動の琴線に触れるかで評価が割れる
シチリア
イタリアといえば子供中心の映画が多く、私も昔いろいろ泣かせられた。...
イタリアといえば子供中心の映画が多く、私も昔いろいろ泣かせられた。「メリーゴーランド」「鉄道員」など。この映画は、主人公が子供のとき、映写技師ととても仲良くなり、彼の生きていくうえでの支えになっていた。彼のすすめでローマに渡り仕事に成功する。しかし、30年ぶりに彼がなくなって郷里に帰るとまったく変わらない故郷があった。
そこで主人公の子供のときに集めていた自分の見たかったシーンを映写技師が編集していたのだ。それを見た彼は・・・。映画技師と出会ったことが彼の人生を成功させ、何もかもうまくいった。しかし、映画技師は故郷を忘れろといったが、忘れることはできない。なぜならここで生まれ育ち、映画技師と出会ったのだから・・・。出会いのすばらしさ、改めて大切にしていきたいと思った。
音楽は言うまでもなくすばらしい。モリコーネと彼の息子が音楽を担当している。息子にも頑張ってほしい。
上手すぎる、それがそのまんま評価された映画
感動を呼び起こす仕組みを完璧に近い形で組み上げた作品。
中盤を真ん中に序盤と終盤をぱたんと折りたたむと、がっちり伏線回収(この言い方もどうかと思うが)が噛み合う構造になっている。
幾層にも重なっているが、なんと言っても究極は、序盤に、トトとアルフレードが結んだ協定、がラスト、結晶のようなキスシーンになって流れ出す場面。これ分かった上でも込み上げるものがある。
この上手さをあざとさと感じるか、そこは黙って呑まれるか、個人差はあるでしょう。
構成の上手さも含め、喝采を送ったタチ。あと余計な情報を画に入れないようにしているカメラワークも物語を際立たせる要因になっていると思う。
アルフレードに人生を教わる
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