「よかった」ニュー・シネマ・パラダイス 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
よかった
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公開時以来で見た。こんなに退屈な映画だったっけと思うほど退屈で、なぜ感動したのかも忘れていた。アルフレードが会場に入れないお客に向けて外の家に映写する場面と、キスのフィルムをまとめた場面は記憶に強く残っていた。どっちも、ああこうだったのか、と特にキスのフィルムはすごく感動的だった。屋外に向けて映写したのは、実際問題ピントが合わないのではないだろうか。
トトは人生の成功者でありながらも満たされない人生を送っているようだった。それはおそらく監督自身の投影なのだろう。未婚で子供もいない。彼女すらいなかったアルフレードと比べるのはどうかと思うのだが、結果的に寂しい人生のようだった。
少年期、青年期とドラマ性に乏しい内容であったのだが、中年になって故郷に帰ってからがそれまでの積み重ねが一気に溢れだすように郷愁や他の感情を掻き立てられる。故郷を離れる際にアルフレードが戻って来るなと言った言葉が呪縛のようで、その通りにしたことが果たして正しかったのだろうか。飛行機で1時間で戻れる実家にちょいちょい戻っていた方がまともな人生を送れたのではないだろうか。
幸福とは一体なんだろうと身につまされた。音楽がズルいほど感傷的だった。
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